先取り商標登録は、刑法の背任罪に該当する可能性がある
一、前言:商標紛争事件はますます複雑化しており、権利を保護するために行政救済を求めたり、商標法上の民事・刑事責任を主張したりすることに加え、刑法上の刑事責任を適切に追及することも知的財産権保護の重要な一環である。商標紛争から派生した背任罪について、2025年2月に言い渡されたばかりの台湾新北地方裁判所112年(西暦2023年)度訴字第1260号刑事判決の要旨は以下に紹介する。
「非伝統的商標審査基準」改訂草案
商標法が2024年5月1日に改正施行され、商標図案中の機能性を有する部分は破線で表現しなければならず、破線で表現できない場合は商標の一部に属さないとする声明をしなければ登録できないことが明定された(商標法第30条第4条)。同法施行細則の関連条文(商標法施行細則第12条第1項第10号、第13条第2項)も併せて改正施行された。商標法及びその施行細則の改正施行に合わせ、「非伝統的商標審査基準」改訂草案を起草した。改訂のポイントは以下のとおり:
商標登録出願に係る指定商品・役務名の更新及び検索参考資料の内容変更の公告
商品及び役務の分類をより適切なものにするため、市場の最新動向を参考にして整理し、商標登録出願に係る指定商品・役務名を見直して、9項目を追加、1項目を削除し、これとは別に3項目のグループ・小類別の名称又は備考の追加・修正を行った。
著名商標の「著名性」の立証方法
台湾の規定では、一般商標と比べて著名商標の保護がより強化されている。著名商標は、他人による登録を消極的に防止することができ(商標法第30条第1項第11号規定)、また、他人が会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表彰する名称として使用することを積極的に阻止することができる。
商標ポートフォリオ―商標権者は加速審査制度を最大限活用すべし
台湾では、商標登録出願は出願から登録まで約6~8ヶ月かかる。特に台湾における商標登録出願件数は年々増加しており、限られた人員リソースを前提として、大量の案件の審査期間を短縮することには限界がある。さらに、出願人は、商品やサービスを販売するためにタイトなスケジュールで業務を行うことがあるため、商標やブランドの保護を即時に取得することが困難な場合がある。産業の発展と国民の商標出願に対するニーズに対応するため、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、商標主務官庁が加速審査を実施するための基礎として、2023年5月24日に改正公布された商標法第19条第8項に、「商標の加速審査」に関する新たな規定を導入した。