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2021年の台湾及びWIPOにおける特許出願受理件数の趨勢比較分析

2022/09/15 IP 統計

www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-913095-802b7-1.html

2021年の台湾における特許出願受理件数は49,116件で2014年以来の最高となった。世界知的所有権機関(WIPO)の特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願件数は約277,500件と過去最高を記録した。台湾の技術分野は「半導体」(6,360件)が最も多く、「コンピュータテクノロジー」(4,283件)がそれに続き、WIPOでは「コンピュータテクノロジー」(26,092件)が最も多く、「半導体」(8,346件)はランキング10位となり、「半導体」は台湾において技術の優位性を有することを示した。台湾人による出願件数は台湾積体電路製造(TSMC)が1位となり、WIPOにおいてはファーウェイ(HUAWEI)が1位となった。このほか、クアルコムとサムスン電子はいずれも台湾及びWIPOの出願人上位10位にランクインした。

一、 台湾における特許出願件数はプラス成長に転じWIPOの成長率は減速

COVID-19感染爆発後、外国人による特許出願件数は激減し、台湾における2020年の総出願件数は減少したが、2021年はプラス成長(前年比5.3%増)に転じた。WIPOにおいては、中国の出願件数が大幅成長したことを受け、2020年の総出願件数は依然として前年比3.6%増となり、その後20213月と9月以降2度減少したことから、2021年の対前年比伸び率は0.9%にとどまった(図1、図2、図3参照)。

二、 台湾の特許出願における台湾人出願人は6直轄市及び新竹県市に集中、うち台北市、新北市、新竹市の合計は全体の56%を占める

台湾人による特許出願は主に6直轄市及び新竹県市からであり、2021年の合計は全体の93.5%を占め、そのうち台北市、新北市及び新竹市の合計は全体の56.3%に達し、2017年比6.2%増となった。件数でみると、新竹市が4,711件で1位となり、次いで台北市(3,282件)、新北市(3,007件)となった。6直轄市及び新竹県市の対前年比伸び率を詳しくみると、新竹市が前年比23.3%増と最も多く、次いで新竹県(前年比7.9%増)、新北市(前年比1.6%増)となった(図4参照)。

三、 台湾における特許出願技術分野は「半導体」が1位、WIPOは「コンピュータテクノロジー」が最多

2021年の台湾における特許出願件数は「半導体」分野が1位で、出願件数(6,360件)は前年比19.6%増の大幅成長となり、突出した成果が見られた。WIPOにおいては「コンピュータテクノロジー」(26,092件)が最も多く、こちらも前年比7.2%増となった。台湾とWIPOにおける技術分野上位10では、いずれも「半導体」、「コンピュータテクノロジー」、「電子機械エネルギー装置」、「音楽・映像技術」、「測量」及び「製薬」等6分野が含まれている(表1参照)。さらに比較すると、台湾における特許出願件数1位の「半導体」は全体の12.9%を占め、WIPOランキング10位(全体の3.2%)よりも遥かに多く、「半導体」は台湾において技術の優位性を有することを示した。WIPOにおいてランキング上位3位である「デジタル通信」、「医療技術」は台湾では上位10位にはランクインしなかった。

四、 台湾とWIPOにおける医薬関連技術分野はいずれも成長、また「製薬」の成長率は最高

台湾における「薬品」は、2021年には1,616件で特許出願技術分野ランキングの10位にランクインし前年比26.3%増となった。また、「バイオテクノロジー」も前年比19.1%増、「医療技術」は2020年の大幅成長後、2021年の出願件数は横ばい(前年比0.1%減)となった。WIPOにおいては、「医療技術」がランキング3位となったものの、「製薬」は前年比12.8%増となり「バイオテクノロジー」(前年比9.5%増)、「医療技術」(前年比6.0%増)を超えた。このほか、台湾とWIPOにおける上位10技術分野では、いずれも「製薬」の成長率が最高となった(表1、図5参照)。

五、 主要国(地域)の台湾における出願は「半導体」、「コンピュータテクノロジー」、及び「有機精密化学」が中心で、WIPOにおいては「コンピュータテクノロジー」、「デジタル通信」及び「電子機械エネルギー装置」を重視

台湾における出願主要国(地域)のうち、台湾、日本、米国、韓国はいずれも「半導体」分野の出願が最多で、12%~18.3%を占める。中国、ドイツについては、それぞれ「コンピュータテクノロジー」分野(13.9%)、「有機精密化学」分野(11.6%)が最も多く、その上位3技術分野にはいずれも「半導体」は含まれていない(表2参照)。

WIPOにおいては、中国(15.6%)、米国(12.4%)の出願最多技術分野は「コンピュータテクノロジー」で、韓国は「デジタル通信」分野(11.5%)、日本、ドイツは「電子機械エネルギー装置」分野(約1011%)で、その上位3技術分野にはいずれも「半導体」は含まれていない(表2参照)。

六、 台湾における特許出願人はTSMC1位、WIPOにおいてはファーウェイが1

2021年、台湾における出願人はTSMC1,950件)がトップとなり、次いでクアルコム(845件)、アプライド・マテリアルズ(758件)がそれに続き、ランキング10位の工業技術研究院(ITRI392件)は唯一の研究機関である。WIPOにおいては、ファーウェイ(6,952件)が1位となり、次いでクアルコム(3,931件)、サムスン電子(3,041件)となり、上位10位の出願人はいずれも企業であった。このほか、クアルコム及びサムスン電子は台湾及びWIPOにおける出願人上位10社のいずれにもランクインとなった(図6参照)。

七、 台湾における上位10出願人のうち7社は「半導体」分野、WIPOにおける上位10出願人は「デジタル通信」分野の占める割合が最高

2021年の台湾における上位10出願人(図6参照)のうち、TSMC、クアルコム、アプライド・マテリアルズ、サムスン電子、東京エレクトロン、友達光電(

AUO)、キオクシア等7社は、いずれも「半導体」分野の上位10出願人である。このほか、TSMC、アプライド・マテリアルズ、ASML、友達光電はそれぞれ「コンピュータテクノロジー」、「電子機械エネルギー装置」、「光学」、「音楽・映像技術」分野のトップとなった(表3参照)。

WIPOにおける上位10出願人(図6参照)のうち、ファーウェイ、クアルコム、サムスン電子、LG電子、廣東OPPO及びLM艾瑞克生(エリクソン)等6つの出願人はいずれも「デジタル通信」分野での出願が最多であった。また一方で三菱電機は「熱処理及び装置」分野においてポートフォリオが最多で、京東方(BOEテクノロジー)は「半導体」分野で占める割合が最高となり、パナソニックIPマネジメント は「電子機械エネルギー装置」分野に重点を置き、ソニーは「コンピュータテクノロジー」分野に占める割合が最高となった(図7参照)。

 

※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。

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