2022年第3四半期の知的財産権動向
2022/10/27 IP 統計www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-914737-16083-1.html
2022年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,174件で前年同期比0.2%微増となり、商標登録出願件数は25,310件で前年同期比2%増と小幅成長となった。特許出願においては、昨年同期比3%増となり、台湾の高等教育機関、研究機関及び金融三業の出願件数が、それぞれ前年同期比9%~22%増となり、外国人による出願件数は5%増となった。特許出願人において、台湾法人では台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数277件で連続7年の1位となり、外国法人ではクアルコムが220件で最多となった。商標登録出願では、「農業食材」、「商業金融」、「健康医療事務」産業が最も多く、台湾人では「農業食材」産業(5,866件)、外国人は「技術研究」産業(1,918件)が最も多かった。商標登録出願人において、台湾法人では統一企業が出願件数191件でトップとなり、外国法人ではIPPLUSが150件で最多となった。
<専利出願>
特許出願件数はプラス成長
台湾が出願受理した特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数のうち、特許は12,555件で最多となり、前年同期比3%増とプラス成長となった。これは外国人出願人による出願件数が増加したことが主因であるが、実用新案と意匠はいずれもマイナス成長とあり、全体では微増となった。
TSMC及びACERが台湾法人による特許及び意匠出願件数で最多
台湾企業全体の特許出願件数は3,704件で、前年同期比1%減となり、その中で大企業による出願件数は3.020件で0.3%微増、中小企業による出願件数は684件で減少となった。
台湾人出願人による特許出願件数上位10社では、工業技術研究院(ITRI)が唯一の研究機関で、その他はいずれも企業となった。出願件数では、TSMCが277件で、第3四半期でいえば、すでに7年連続で台湾人出願人の第1位となった。成長率では、聯華電子(UMC:118件)及び群創(INNOLUX:89件)の出願件数は昨年同期の少なかった件数に比べて、それぞれ1,375%と4,350%の成長率で顕著な成長を見せ、件数においてもそれぞれ2012年以来の第3四半期統計の最高となり、UMCの第2位は同社の歴代最高順位となった。
意匠については、出願件数上位5位はいずれも企業で、その中でACERが40件で最も多く、昨年同期と同じく台湾人出願人による意匠出願の第1位となり、TYUが15件(150%増)で、成長率が最大となった。
台湾の高等教育機関、研究機関及び金融三業による特許出願件数がいずれもプラス成長
台湾の高等教育機関による特許出願件数は454件で、昨年同期比9%増となり、公立私立学校ともいずれも出願件数が増加した。出願人別では、成功大学が36件で高等教育機関における1位となり、私立大学では崑山科技大学が28件で最多となった。成長率では中央大学が375%増で最多となった。
研究機関による特許出願件数は132件(14%増)で、その中で工業技術研究院(ITRI)が47件で最多となった。また、金融三業による特許出願件数は62件(22%増)で、兆豊国際商業銀行が13件で最多となった。
外国人出願人による特許出願件数は5%増
外国人出願人による専利出願は特許が中心で、特許出願件数7,779件、前年同期比5%増となった。国(地域)別出願件数上位5か国では、日本が2,942件で最も多く、米国(1,973件)、中国(1,006件)、韓国(689件)はそれぞれ9%~36%増加し、急速な成長となった。また、意匠出願においても日本が197件で最多となった。
クアルコム及びフィリップスがそれぞれ外国人出願人による特許及び意匠出願件数の最多
外国法人出願上位10社のうち、特許の出願件数においてはクアルコムが220件で最も多く、次いでアプライド・マテリアルズが218件で2位になった。意匠出願件数上位5位では、フィリップスが49件で最多となり、アップルとカルティエが29件で同数2位となった。
<商標登録出願>
商標登録出願件数が小幅な成長
商標登録出願件数は25,310件(32,105区分)で、前年同期比2%増となった。台湾人による出願件数は19,789件、前年同期比4%増となり、外国人による出願件数は5,521件で前年の同時期に比べ微減となった。また、台湾人による商標登録出願件数の商標総出願件数全体に占める割合は78%で、前年同期比1%増となった。
統一企業が台湾の商標登録出願件数におけるトップ
台湾人による出願類別上位5位において、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が4,071件と最も多く、第41類(教育、娯楽)が18%増で成長率が最も大きくなった(図9)。出願人上位10社の出願件数はほぼ増加しており、統一企業が出願件数191件でその他の出願人を遥かにリードした。
IPPLUSが外国人による商標登録出願件数における最多
国(地域)別の商標出願件数上位5位は、中国(1,153件)が最も多く、米国(808件)がマイナス成長となり、日本(980件)、韓国(472件)、シンガポール(458件)がそれぞれ26%~263%増加しており、積極的にポートフォリオを展開している。区分別上位5類では、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が1,089件で最多となり、第3類(化粧品、洗浄剤等)が629件で10%増の急成長となった。外国人出願人全体の出願件数は減少したものの、上位10社の出願件数はいずれも増加しており、なかでもシンガポールのIPPLUSが初の台湾商標登録出願で150件と最も多かった。
台湾人・外国人出願人による商標登録出願はそれぞれ「農業食材」及び「技術研究」産業に集中
産業においては、台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」(6,913件)、「商業金融」(5,423件)、「健康医療事務」(4,900件)が最多となった。台湾人出願人では「農業食材」(5,866件)が最も多く、主にレストラン及び宿泊の商標に集中している。外国人出願人による出願件数では、「技術研究」(1,918件)が多かった。
上位3産業のうち、台湾人出願人による「商業金融」産業の出願件数は2021年第3四半期に増加したが、今季は横ばいとなっており、「農業食材」及び「健康医療事務」は減少となった。外国人出願人では、直近2年の「技術研究」及び「健康医療事務」産業の件数が減少したが、「服飾装飾品」産業の件数が2年連続で増加している。
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。