2022年上半期の知的財産権趨勢
2022/07/29 IP 統計www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-911869-25ac8-1.html
2022年上半期における特許、実用新案、意匠の三種の専利の新規出願件数は34,753件(前年同期比1%減)で微減となったが、商標登録出願件数は46,578件(前年同期比0.4%増)と微増となった。台湾人による特許出願件数は、大企業及び高等教育機関の出願件数がそれぞれ前年同期比3%増となり、外国人による同件数は前年同期比6%増となった。出願人において、台湾積体電路製造(TSMC)が1,163件と6年連続の台湾人出願人のトップとなり、外国人出願人においては、アプライド・マテリアルズが438件で最多となった。商標出願件数は「農業食材」産業が最も多く、台湾人及び外国人による出願件数はそれぞれ「農業食材」(13,240件)及び「技術研究」(3,964件)産業の出願件数が最多となり、直近2年においていずれもプラス成長を維持した。出願人においては、台湾法人では統一企業が548件、外国法人では廣東龍順國際物流が85 件で最多となった。
今期の専利出願の動向
特許出願受理件数は小幅な成長
台湾が受理した特許、実用新案、意匠の三種の専利出願件数のうち、特許は24,316件で最も多く、前年同期比2%増と小幅な成長となった。これは外国人による出願件数の増加が主因であり、実用新案及び意匠はいずれもマイナス成長となった(表1参照)。
TSMC及びACERはそれぞれ台湾人による特許出願件数及び意匠出願件数の最多
台湾企業全体における特許出願件数は7,454件で、前年同期比3%減となり、主として中小企業の出願件数(1,332件)の減少が原因となったが、大企業の出願件数(6,122件)は前年同期比3%増となり、依然として研究開発力を維持した(図2参照)。
台湾法人による特許出願件数上位10社及び意匠出願件数上位5社の多くは企業である。特許においては、TSMCの出願件数が1,163件で、上半期では既に6年連続の台湾法人におけるトップとなった。また、南亜科技(NANYA)及び群創光電(INNOLUX)がそれぞれ出願件数249件及び179件となり、その件数はそれらの企業が2016年に本局の上半期統計で公布されて以来の最高となり、ランクも2016年以来の最高となり、INNOLUXの成長率は5,867%と突出した成長を見せた(図4参照)。
意匠出願件数においては、上位5位のうち、宏碁(ACER)が74件で最多となり、仁寶(28件)と皇冠金属(26件)、長庚科大(26件)のそれぞれの成長率は64%~550%と成長が著しく、なかでも長庚科大は上位5位にランクインした唯一の高等教育機関となった(図5参照)。
台湾の高等教育機関及び金融三業の特許出願件数はいずれもプラス成長
台湾の高等教育機関の特許出願件数は840件、前年同期比3%増となり、国公立大学の出願件数の増加が主因となった(図2、図6参照)。出願人においては、国立清華大学が特許出願件数65件と高等教育機関におけるトップとなり、また私立大学の特許出願件数は崑山科技大学が25件で最多となり、高等教育機関上位10校に唯一ランクインした私立大学でもある(表3参照)。
研究機関における特許出願件数は131件、前年同期比減となり、そのうち、工業技術研究院(ITRI)は55件と最多となった(図2、表4参照)。金融三業においては、特許出願件数は84件、前年同期比17%増となり、そのうち兆豊国際商業銀行は29件と最多となった(表6、図7参照)。
外国人出願人による特許出願件数は前年同期比6%増
外国人出願人による専利出願件数は特許が中心で、特許出願件数14,960件(前年同期比6%増)(表1参照)となった。特許出願の出願上位5ヵ国(地域)のうち、日本が6,193件で最多となり、中国を除くいずれの国(地域)もがプラス成長となり、特に米国(3,759件)は二桁成長(前年同期比16%増)となり、積極的な姿勢が見られた。また、意匠出願件数は1,864件で、日本が出願件数519件で最多となった(表1、図3参照)。
アプライド・マテリアルズ及びフォードグローバルがそれぞれ外国法人の特許及び意匠出願件数の最多
外国法人の出願件数上位10社において、アプライド・マテリアルが特許出願件数438件(前年同期比44%増)となり、同時にその他の出願人を大きく引き離した(図4参照)。意匠においては、フォードグローバルが出願件数89件で首位となり、また成長率ではカルティエ(43件)の1,333%が最も顕著となった(図5参照)。
今期の商標出願の動向
商標登録出願件数は小幅なプラス成長
商標登録受理件数は46,578件、前年同期比0.4%増の微増(60,963区分、前年同期比2%増)となった。台湾人による出願件数は36,449件(前年同期比4%増)となり、外国人による出願件数は10,129件で、前年同期比減となった(表1、図8参照)。また、台湾人による商標出願件数の商標出願件数全体に占める割合は78%で、前年同期比2%増となった。台湾人による出願件数及びその占める割合は直近2年のいずれもが上昇傾向を見せた(図1参照)。
統一企業が台湾人による商標登録出願件数の首位
台湾人による出願件数は第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)の7,378件が最も多く、第30類(コーヒー、茶及びケーキ等)が前年同期比67%増と成長幅が最大となった(図9参照)。商標出願件数の上位10社のいずれも前年同期比プラス成長となり、そのうち、統一企業は出願件数548件、成長率294%となり、件数はその他の出願人を遥かにリードした(表7参照)。
廣東龍順國際物流が外国人による商標登録出願件数の最多
外国人による出願件数は第9類(コンピュータ及びテクノロジー商品等)が2,329件と最多となり、第42類(科学及び技術的サービス)の出願件数は前年同期比11%増となり比較的早い成長となった(図10参照)。外国人による出願件数全体は減少したものの、出願件数上位法人10社のうち、9社がいずれもプラス成長となり、なかでも中国の廣東龍順國際物流は昨年同期0件であったが、今期は85件と最多で急成長となった(表8参照)。
台湾人・外国人による出願件数はそれぞれ「農業食材」及び「技術研究」産業に集中
産業方面において、台湾が受理した商標出願件数は、「農業食材」(15,092件)が最も多く、台湾人の出願件数(13,240件)が飛躍的に伸びたことが主因であり(図11参照)、該産業は台湾人と外国人の出願件数の差(11,388件)が最も大きい産業でもある。上位3産業において、台湾人の出願件数は「農業食材」及び「商業金融」産業がいずれも2年連続でプラス成長の傾向を見せ、そのうち、「農業食材」の出願件数は2022年上半期において前年同期比25%増と相当なスピードで成長した。また、外国人による出願件数では「技術研究」産業が直近2年で安定した成長を見せた。
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。