知的財産裁判所2010年度行商訴字第20号判決
2010/06/17 IP 判決原告 株式会社セイコーアドバンス
被告 経済部知的財産局
参加人 セイコーホールディングス株式会社
主文:
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実:
1.原告の係争商標(「株式会社」、「Ltd.」は専用に含まない)は2007年8月31日に第2類の「染料、顔料、塗料、印刷用インク」などを指定商品として被告に登録出願し、2008年8月1日に登録番号第1320614号として登録された。
2.参加人は係争商標が商標法第23条第1項第12、14号の規定に違反したことで異議申立てを請求した。
3.被告は2009年8月28日に中台異字第971060号の商標異議決定書にて係争商標の登録は取消すべき処分を下した。
4.原告は不服で訴願を提起したが、経済部により2009年12月8日に訴字第09806122470号にて棄却され、本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1.係争商標はカタカナの「セイコー」と、欧文字の「Seiko advance 」と、三角図形とからなるが、引用商標は単に欧文字の「SEIKO」からなる。両商標を比較すると、外観、称呼が類似し、時と場所を異にする離隔的観察及び称呼によれば、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるため、類似度の高い商標といえる。
2.原告は係争商標が既に台湾の市場でインク商品に30年以上使用し、その指定商品の分野で既に関連消費者により周知されたから著名商標として認定されるべきであると主張した。しかし、係争商標に関する証拠はわが国での販売しか証明できず、関連消費者に熟知されることを認定するには十分でない。
3.引用商標がわが国や他国での登録、及びわが国での長期使用・宣伝に関する証拠から見れば、引用商標は係争商標の出願日(2007年8 月31日)の前に、既に時計、腕時計などの商品として関連事業又は消費者により周知され、またその関連分野に属さない一般人も新聞・雑誌・カタログなどのメディアから知りうる著名度の高い著名商標として看取されている。従って、係争商標は「染料、顔料、塗料、印刷用インク」などの指定商品として使用され、引用商標の「時計、腕時計」などの指定商品とはかなり異なっているものの、著名商標である引用商標に高度に類似するから、もし商標登録されて後日普遍に使用されると、引用商標の一般人に与える独特感や単一感を弱化させ、引用商標の識別性や名誉を減損するおそれがあるから、商標法第23条第1項第12号の規定に該当するものであり、商標登録を受けるべきでない。