知的財産裁判所2010年度行商訴字第30号判決
2010/07/29 IP 判決原告 惟信服飾有限公司
被告 経済部知的財産局
参加人 阿羅佛斯設計実業社
主文:
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実:
1.原告の「BOUNTY HUNTER 及び図」の商標は2004年11月26日に第25類の「帽子、マフラー、スカーフ、手袋など」を指定商品として被告に登録出願し、2005年11月1日に登録番号第1179770号(以下「係争商標」という)として登録された。
2.参加人は係争商標が商標法第23条第1項第12、14号の規定に違反したことで無効審判を請求した。
3.被告は2009年8月27日に中台評字第970266号の商標無効審判書にて係争商標の登録は取消すべき処分を下した。
4.原告は不服で訴願を提起したが、経済部により2009年12月24日に訴字第09806123200号にて棄却され、本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1.BOUNTY HUNTER社は引用商標を1999年に日本で商標登録し、2008年6月18日に参加人の阿羅佛斯設計実業社に台湾での唯一のライセンシーとして「BOUNTY HUNTER」ブランドの各類商品を代理する代理権を与えた。このため、参加人は1999年から(係争商標の出願日の2004年11月26日の前)販売の目的で、引用商標を被服、おもちゃ、腕時計等の商品に用い、新聞、宣伝イベントなどを介して関連消費者にその商品を認識させ、引用商標を商標として先使用した事実が明らかである。
2.商標法第23条第1 項第14号に規定の「先使用商標」とは、商標として使用する事実は肝心で、国内か外国で先に登録した商標に限らず、係争商標の登録出願前に国内又は外国で同一又は類似した商標を同一又は類似した商品に先使用したならば、上記規定に該当する。
3.係争商標と引用商標とは全体的外観がほぼ同じで、時と場所を異にする離隔的観察によれば区別が付きにくく、関連消費者が同一シリーズの商標として思われ、混同誤認するおそれがあるため、類似度の高い商標といえる。両商標は何れも被服などを指定商品としたから、一般消費者は被服関連用品の販売通路や販売店で接触、購入、使用することができる。また、材質、用途、機能、販売相手、販売通路においても共通又は関連するところがあり、一般の社会観念及び市場取引から見れば、両者が高度に類似した商品に属すべきである。
4.商標法第23条第1項第14号は他人の創作した商標を剽窃して登録出願することを防ぐという旨で、「契約、地縁、業務取引」の関係の他、「その他関係」も規定されている。上記その他関係とは、出願人と他人の間に「契約、地縁、業務取引」などの関係がないにも係わらず、競争同士か業務関係などで他人の先使用商標の存在を知りうる場合も、上記その他関係に該当する。
5.わが国と日本との間で文化、経済、貿易での頻繁な交流、及びインタネットの情報通信技術の発達に伴い、わが国の関連事業及び消費者が日本の被服商品の情報を容易に知りうるようになり、しかも原告は被服商品の製造、小売り、卸売り及び国際貿易を従事する業者であるため、引用商標の存在を承知しているはずであった。このため、係争商標が商標法第23条第1 項第14号に該当することは認められる。係争商標の登録が参加人の請求した無効審判により取消されたことは法に違反してされたものではないから、訴願の決定は維持すべきである。従って、訴願決定及び原処分を取消す原告の理由は成り立たず、その請求は棄却すべきである。