2019年第1四半期の知的財産権動向
2019/04/29 IP 統計2019年第1四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は17,243件(前年同期比2%減)となった。そのうち意匠は前年同期比2%増で3四半期連続のプラス成長となり、また、商標登録出願数は19,475件(前年同期比4%減)となった。台湾人出願人による特許出願件数は、前年同期比ほぼ横ばいとなったが、外国人出願人による意匠出願件数は大幅成長となった。特許出願においては、友達(AUO)及びアリババが、台湾法人及び外国法人のそれぞれ1位となった。
一、 今期の専利出願の動向
(一) 意匠が3四半期連続のプラス成長
三種類の専利において、特許出願件数は前年同期比1%減のほぼ横ばい、実用新案は3,956件(前年同期比8%減)となったが、意匠は1,984件(前年同期比2%増)で3四半期連続のプラス成長となった(表1参照)。
(二) 外国人出願人による意匠出願件数が大幅プラス成長
台湾人出願人による三種類の専利のうち、特許(4,067件)出願件数が前年同期比ほぼ横ばいとなり、実用新案(3,689件)及び意匠(940件)出願件数はいずれも減少した(表1参照)。外国人出願人による出願件数は、特許(7,236件)及び実用新案(267件)がいずれも減少したが、意匠(1,044件)は前年同期比18%増と見事な成果を収めた(表1参照)。意匠の成長はフランスからの出願件数が大幅増加したことが主因で、日本及び米国等のその他の主要国家もプラス成長であったことから(図3参照)、外国人出願人が台湾市場における商品の外観意匠の保護をますます重視してきていることが示された。
(三) 台湾法人においては、友達(AUO)の特許出願件数が8四半期連続のプラス成長
2019年第1四半期は、友達(AUO)の特許出願件数が増加し、台湾人による特許出願件数に占める割合も前年同期比増となり、2016年第3四半期以降、件数は安定した成長となり、一定の研究開発力を維持している。台湾法人における特許出願では、友達(AUO)が187件と最も多く、2017年第2四半期以降8四半期連続の急成長となった。2位は台湾積体電路製造(TSMC,163件)、3位は宏碁(ACER、96件)となり、上位3社の出願件数を前年同期と比較するとそれぞれ23%~68%増(図4参照)となり、いずれも大幅成長となった。
(四) 清華大学の特許出願件数は40%のプラス成長
2019年第1四半期において、高等教育機関の特許出願件数は減少し、うち国公立大学と私立大学の出願件数はそれぞれ158件、122件で、出願件数の割合はそれぞれ56%、44%であった(図5参照)。国公立大学では清華大学が24件と1位を占め、前年同期比41%増と大幅成長した。私立大学では、亜東技術学院及び逢甲大学がそれぞれ11件で1位となった(表3参照)。
(五) 工業技術研究院(ITRI)の特許出願件数が成長
研究機関全体の特許出願件数は減少したが、出願件数1位の工業技術研究院(52件、前年同期比4%増)と2位の中央研究院が(10件、前年同期比25%増)の出願件数はいずれもプラス成長となった(表5参照)。
(六) 外国法人においては、アリババが特許出願に積極的
2019年第1四半期における外国人出願人の特許出願件数を国籍別にみると、日本が3,669件と最も多く、前年同期比1%の微増となり(図3参照)、2017年第1四半期以降、おおむね安定した成長を維持している。外国人出願人においては、香港のアリババが267件と最も多く、前年同期比251%増と件数及び成長率においていずれも外国法人における特許出願件数上位10社のトップとなり(図4参照)、件数においては2四半期連続の大幅成長となった。
二、 今期の商標出願の動向
(一) 台湾人の出願件数は小幅な減少
2019年第1四半期における商標登録出願件数は19,475件(前年同期比4%減)となり、台湾人出願件数は14,004件(前年同期比2%減)、外国人出願件数は5,471件(前年同期比8%減)といずれも減少した(表1参照)。外国人においては、日本及び米国等の主要国からの出願件数の減少の影響を受け、件数が減少した(図3参照)。
(二) 外国人では中国の出願件数が最多
外国人出願件数を国籍別にみると、中国(1,331件、前年同期比15%増)が最も多く、次いで日本(1,102年)及び米国(879件)となった。海外から台湾への出願件数上位5カ国ではアジアの国(地域)が4カ国を占め、その他の地域と比較し積極性が明らかになった(図3参照)。
2019年第1四半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参http://www.tipo.gov.tw/lp.asp?ctNode=6801&CtUnit=3308&BaseDSD=7&mp=1
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。その詳細は下記リンクによりご参照ください。
http://www.chizai.tw/magazine.php?PHPSESSID=d6d7cfceca281eda2e3f18ef46660238