2024年第1四半期の知的財産権動向
2024/05/15 IP 統計www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-936757-f05a1-1.html
一、専利・商標全体の出願動向
2024年第1四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は16,815件で、そのうち特許は11,989件、実用新案は3,226件、意匠は1,600件となり、特許及び意匠出願件数はいずれも前年同期比4%減となったが、実用新案は前年同期比4%増となった。台湾人による三種類の専利出願件数が占める割合は49%で、外国人が占める割合は51%であった。直近5年における第1四半期の三種類の専利出願件数は2年連続の前年同期比微減となり、今後の展開が注目される(図1参照)。
商標登録出願件数は21,751件(26,928区分)で、前年同期比1%の微増となり、そのうち台湾人が占める割合は78%、外国人が占める割合は22%となった。直近5年における第1四半期の出願件数は、マイナス成長からプラス成長に転じ、前年同期比1%微増となった(図2参照)。
二、台湾人出願人による専利出願概況
(一)特許出願件数上位10出願人
台湾人出願人による特許出願件数は4,492件で、そのうち企業が3,655件となった。特許出願件数上位10出願人は、台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数413件でリードし、次いで南亜科技(NANYA)が121件、友達光電(AUO)及び群創(INNOLUX)がいずれも84件、宏碁(ACER)が71件、聯發科(Media Tek)が69件、英業達(Inventec)が65件、瑞昱(Realtek)が63件、台達電(DELTA)が51件、及び鴻海(FOXCONN)が47件となった(図4参照)。TSMCは2023年第1四半期から現在まで5四半期連続の1位となった。FOXCONNは2022年第2四半期以来の出願人上位10位入りへの返り咲きとなった。
(二)意匠出願件数上位5出願人
台湾人出願人による意匠出願件数は753件で、出願件数上位5出願人について、聯府塑膠(KEYWAY)が21件で最も多く、次いで長庚科技大学及び超合がいずれも14件、宮前及び巨鎧精密(COPLUS)がいずれも12件となった(図5参照)。
(三)高等教育機関による特許出願件数上位10出願人
台湾の高等教育機関による特許出願件数は312件で、出願人上位10位について、国立台湾大学の20件が1位となり、次いで国立清華大学が18件、国立成功大学が16件、長庚科技大学が15件、亜東科技大学が14件、国立台湾科技大学が13件、国立中山大学及び国立陽明交通大学がいずれも12件、国立中央大学が11件、中国医薬大学及び国立台北科技大学がいずれも10件となった(表1参照)。
(四)研究機関及び国営事業による特許出願人
台湾の研究機関による特許出願件数は70件で、出願人上位5位について、工業技術研究院(ITRI)が35件、中央研究院(SINICA)が9件、財団法人紡織産業総合研究所(TTRI)、国家原子力科学技術研究院(NARI)、国家実験研究院(NARLabs)がいずれも4件となった(表2参照)。台湾の国営事業による特許出願件数は11件で、台湾電力の6件が最も多く、次いで台湾中油が4件となり、案件の成長率は前年同期比29%増で、国営事業が専利ポートフォリオを重視していることを示している。
三、外国人出願人による専利出願状況
(一)特許出願件数上位10出願人
外国人出願人による特許出願件数は7,497件で、出願人上位10位のうち、米国のアプライド・マテリアルズ(Applied Materials)の出願件数は250件と最も多く1位を維持し、その他は順に韓国のサムスン電子(SAMSUNG)が240件、韓国の韓領が175件、米国のクアルコム(Qualcomm)が170件、日本の東京エレクトロンが165件、日本の日東電工が136件、日本の住友化学が102件、日本の富士フイルムが83件、オランダのASMLが79件、英国の尼可創業(Nicoventures Trading Limited)が71件となった(図4参照)。
(二)特許出願人の国籍分析
特許出願上位5か国(地域)について、日本は出願件数3,325件で1位となり、次いで米国の1,526件、韓国の715件、中国の698件及びドイツの222件となった(図3参照)。そのうち、韓国は今季中国を超え、4位から3位へ浮上しており、案件数は前年同期比29%増となり、台湾専利ポートフォリオにおける韓国の拡大を示していることから、今後の展開には注目する価値がある。
(三)意匠出願件数上位5出願人
外国人出願人による意匠出願件数は847件で、出願件数上位5出願人は、スウェーデンのVolvo Carsが出願件数32件と最も多く、次いでスイスのWonderland Switzerland AGが27件、フランスのStellantis N.V.が25件、日本のユニ・チャーム(Unicharm)及び田崎が19件となった(図5参照)。
Volvo Cars及びStellantis N.V.はいずれも初の上位5入りとなり、Volvo Carsは1位に躍り出た。
(四)意匠出願人の国籍分析
意匠出願件数上位5か国(地域)について、日本は出願件数213件と最も多く、次いで米国の138件、中国の105件、スイスの91件及びフランスの51件となった(図3参照)。
四、商標登録出願概況
(一)台湾域内の商標登録出願上位10出願人
台湾域内の商標登録出願件数上位10出願人について、統一企業が311件でランキング1位となり、次いで富邦媒体72件、呉若梅48件、昕力資訊47件、金車39件、愷達生医36件、池安量子資安34件、昇恒昌33件、興富発27件、訊聯細胞智薬26件となった(表3参照)。
(二)台湾人による出願の区分
台湾人出願人による出願上位3区分について、順に第35類(広告、企業経営等)が3,201件、第43類(レストラン、宿泊施設等)が1,708件、第30類(コーヒー・茶及びケーキ等)が1,586件となり(図6参照)、これは台湾企業において企業経営等のサービス業がほとんどを占めていることを示しており、また、飲食サービス業が依然として相当の市場力を維持していることを証明している。
(三)台湾域外の商標登録出願件数上位10出願人
台湾域外の商標登録出願件数上位10出願人について、中国泉州寶宇貿易が56件でランキング1位となり、次いでケイマン諸島の騰訊控股(Tencent Holdings)が42件、中国の栄耀終端が39件、韓国星燦盛世文化(PLEDIS Entertainment)が31件、香港米斯托及び周生生珠宝がいずれも29件、フランスL’OREAL, S.A. が24件、中国北京広宜科技が22件、アイルランド吉聯亞科学(GILEAD SCIENCES IRELAND UC)及び韓国芸享がいずれも21件となった(表4参照)。
(四)外国人出願人の国籍分析
商標登録出願件数上位5か国(地域)について、中国が1,261件と最も多く、次いで日本736件、米国674件、韓国449件及び香港299件となった(図3参照)。
(五)外国人による出願の区分
外国人による出願件数上位3区分について、順に第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)884件、第35類(広告、企業経営等)600件、第3類(化粧品、洗浄剤等)515件となった(図6参照)。そのうち、第9類のコンピュータ、オーディオビジュアルと情報テクノロジー設備商品、及び第35類の商品小売及びネットショッピングサービス等について、外国人は商標登録出願保護に重点を置いている。
(六)産業別分析
台湾が受理した商標出願において、「農業食材」が5,915件で各産業を遥かに超えて1位となり、次いで「健康医療事務」4,449件、「商業金融」4,181件となった。また、特に注目したいのは、ランキング4位の「技術研究」(3,598件)が件数において前年同期比5%増となり、上位3産業と比べ、成長が比較的大きかった。
台湾人出願人は「農業食材」産業(4,985件)への出願に集中しており、主にレストラン及び宿泊施設の商標件数が比較的多かった。外国人出願人では「技術研究」産業が1,433件で最多であった。このほか、台湾人出願人では「農業食材」、「健康医療事務」、外国人出願人では「服飾アクセサリ」の件数がいずれもプラス成長した。
注:上述の統計データは、その出願人及び国籍ランキングにおいて出願の「第1出願人」を計算の基礎とする。
2024年第1四半期の「四半期統計表」は、下記リンク先の智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/lp-167-1.html)の「四半期統計」を参照(中国語:「季統計」、「113年第1季」。)
2024年第1四半期の知的財産権趨勢図表(「2024年第1四半期の知的財産権動向」で参照している図表)は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-936757-f05a1-1.html)の「檔案下載(ファイルダウンロード)を参照(中国語:智慧局公布113年第1季智慧財産權趨勢)。
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。