最高行政裁判所2013年度台上字第310号判決
2013/05/17 IP 判決上告人 UCCホールディングス株式会社
被上告人 経済部知的財産局
参加人 環球コンクリート股ふん有限公司
事実:
1.「UCC collection及び圖」の商標(「collection」は專用に含まない)は参加人により2010年3月29日に第19類を指定商品として被上告人に登録出願され、登録番号第1459098号(以下「係争商標)という)として登録された。
2.上告人は係争商標が商標法第23条第1項第12号及第14款の規定に該当することで被上告人に異議申立てを請求したが、被上告人により2012年1月13日に中台異字第1000514号商標異議審決書にて商標登録を維持する決定を下した。上告人は上記決定を不服し、訴願を提出したが棄却された。
3.上告人は原審の知的財産裁判所に行政訴訟を提起したが、2012年12月27日付2012年度行商訴字第126號の行政判決により棄却された。上告人は上記判決を不服し、本件上訴を提起した。
主文:
原判決を破棄し、知的財産裁判所に差し戻す。
判決の旨:
1.商標は関連消費者にとっては全体的な図柄であり、分断してそれぞれ評価するものではないため、商標の類否判断は全体の観察に基づくべきである。また、商標図柄の主要部分の観察と全体の観察とは対立しているわけではないが、最終的に主要部分の観察は商標の関連消費者への全体的な印象に影響する。係争商標は上下に並んで大きさが異なる欧文字「UCC」と、「collection」と、その上方の図形からなっている。その図形は、墨色の円形の中に平行に等距離で並んで5本の白線から構成された「U」の欧文字が配置された。係争商標の「collection」は専用に含まないと声明されたが、やはり全体的な構図の一部に属する。従って、商標の類否判断においては、その専用に含まないと声明された部分についても全体として比較しなければならない。引用商標は斜体で未設計欧文字のUCCであり、両商標を比べると、引用商標は単に欧文字からなるが、係争商標は欧文字と図形とからなっている。そのため、両商標は何れも「UCC」を有するにも係わらず、係争商標の図形によりそれらの相違点が際立たせることができ、高度に類似するとは言い難い。
2.関連消費者が混同する恐れの有無を判断するとき、商標の外観の識別性の強弱、商標の類似度、市場上の先願権利者の多角化経営状況、関連消費者の各商標への熟知度、及び指定使用又は実際使用の商品や役務の類似度を参照しなければならない。引用商標はコーヒー及び茶飲料などの関連商品及び役務において知的財産局、訴願機関、裁判所により著名商標として認定され、係争商標が2010年3月29日に登録出願する前に既に著名商標となった。また、引用商標は係争商標の登録出願前に、2009年11月1日に建築物の建設、インテリアデザイン、建築工程の建設及び修繕などの役務の指定使用として登録した(登録番号第01384954号)。それらの役務は係争商標の「建築用石材、コンクリート、建築用非金属製タイル、石膏板」などの建築類の指定商品とは高度な関連性が見られるため、引用商標が多角化経営の事実や計画の有無については改めて調査する必要がある。
3.他人の著名商標と同一又は類似したものを異なる商品や役務に使用することで、著名商標の独特性を低減する可能性があれば、著名商標の識別性を減損する恐れがあるという関連規定に該当する。係争商標の指定使用した「建築用石材、コンクリート、建築用非金属製タイル、石膏板」などの商品は、引用商標のコーヒー飲料として周知された商品や役務とは大きく異なり関係がないとしても、上記規定の適用に影響しない。
4.叙上により、係争商標の登録が改正前の商標法第23条第1項第12号の規定に違反していないため原処分及び訴願決定を維持する原判決は破棄すべきであり、原審裁判所に差し戻す。