抽選商品にシャネルを使用したPOYA 商標侵害訴訟で損害賠償無し
2019/10/25 台湾台湾の有名大手ドラッグストア「宝雅生活館(POYA)」は4年前、「30周年抽選イベントでシャネルをプレゼント」イベントを行ったところ、許諾を得ずに商標権を乱用して侵害した上に、公平交易法にも反するとしてフランスのシャネル(CHANEL)から300万台湾元(約1,070万円)の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求めて訴訟を提起されていた。智慧財産法院は第一審、第二審ともに、POYAは消費者に賞品が何かを告知したに過ぎず、商標の使用には該当しないとしてPOYAの賠償無しの判決を下していた。その後、最高裁判所も10月24日、シャネルからの上訴を棄却し、シャネルの敗訴が確定した。
シャネルは、POYAが2015年9月3日~10月6日まで開催した30周年抽選イベントにおいて、シャネルの同意を得ずまた、合法的な許諾を取得せずに、広告カタログ、公式ウェブサイト、フェイスブック、全国の店舗における広告看板、のぼり等に大量にシャネルの商標、図、製品写真を使用し、いわゆる「賞品」としての役割を大幅に超えて故意にシャネルの知名度にフリーライドし、その商標権と商業的信用を侵害し、取引秩序を害したとして、300万台湾元(約1,070万円)の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求めた。
これに対しPOYAは、抽選イベントにおいてシャネルの図を使用したが、それは消費者に正規版の商品が当たる機会があることを知らせるために過ぎず、イベントのファッション的特性を表示したもので、シャネルを利用して利益を得ようとしたものではなく、また、POYAは広告文面でもシャネル協賛、提供、共催等の文字は使っておらず、シャネルの商業的信用へのフリーライドでもなく、商標権を侵害してもいない、と反論した。
智慧財産法院は第一審、第二審での審理において、POYAは抽選イベントの開催のために新光三越のシャネルカウンターで合計59万台湾元(約210万円)以上のバッグ、ネックレス、ブレスレット等14商品を抽選賞品として購入し、広告看板に使用したシャネルの写真は、イベントの特性を明らかにするためで、広告内の「販促商品」にはシャネルは表示されておらず、消費者は広告を見て商品と賞品の違いを明確に識別することができ、シャネルの商標・商業上の信用にフリーライドする状況はないため、シャネル敗訴の判決を下した。これを受け、シャネルは第三審である最高裁判所に上訴したが、最高裁はこれを棄却しシャネル敗訴の確定判決を下した。
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。