商標登録出願の加速審査開始 登録取得の緊急需要のある業者は有効活用可
2024/06/28 台湾智慧局の「商標登録出願加速審査メカニズム」が本年(2024年)5月1日に正式に実施され、直ちに商標登録を取得する必要がある出願人に、商標登録を迅速に取得するルートを提供している。智慧局は、加速審査メカニズムには二大条件があると述べている。一つ目は、権利の即時取得の必要性、つまり「緊急性」である。加速審査を申請する際、業者には確実な緊急性がなければならない。二つ目は「利用者の手数料負担原則」で、加速審査費用を別途徴収する必要がある。原則的に加速審査の要件に該当する出願は、加速審査の申請が受理されてから2か月以内に本局が該案件について最初の審査結果通知を行うが、審査過程で補正通知又は審査の一時見合せが必要となる場合、加速審査の効率に影響し、短期間内に審査結果を出すことができなくなる。
商標加速審査の申請条件及び方法は難しいものではない。商標を出願してから智慧局が最初の審査通知を発行するまでに、直ちに権利を取得する必要がある場合、出願人は加速審査を申請することが可能である。基本的には、出願で指定した全ての商品・役務がすでに実際に使用されているか使用のための相当の準備をしている場合、又は、一部の商品・役務についてすでに使用しており、その出願商標を第三者が同意なく使用している、第三者が使用許諾を請求している、すでに市場参入又は出展等の計画がある等のビジネス上の権利取得の必要性、若しくは緊急性の証拠を提出できる場合、加速審査の申請条件に該当する。
現在加速審査が申請されている案件の中で、加速審査条件に完全に該当する最初の申請案件は、本日登録査定を取得する。その登録案件を例に挙げると、2024年3月1日に商標登録出願されていたが、第三者がこの出願商標について使用許諾を請求していることから、権利を即時に取得する必要が生じ、出願人は2024年6月4日に加速審査申請を行い、一区分6,000台湾元(約29,300円)の加速審査手数料を納め、商標使用許諾契約書等の関連証明書類を提出し、審査されたところ、商標法上の不登録事由はないとして、2024年6月13日に登録査定書が発行された。現在の商標審査の平均FA通知期間約6.2か月、平均審査終結期間約7.5か月と比べて出願人の審査待ち期間が短縮され、商業ポートフォリオ及び権利保護に有益である。
智慧局は、非伝統的商標タイプの出願の場合、商標争議に関係する案件の場合、指定商品又は役務の名称が広範である又は不明確である場合等、個別案件の状況によっては短期間内で審査結果を出すことができず、審査過程において通常補正又は審査の一時見合わせが必要になり、加速審査の効率に影響が出るため、出願人は自身で判断しなければならない旨、特に注意喚起している。また、加速審査の条件に該当するためには、出願した商標の図案は必ず実際に使用している商標と完全に一致する必要があり、先願又は登録商標との衝突の可能性を減らし、加速審査の効率を向上させるため、出願人は出願前に自ら調査を行う必要がある。加速審査を申請した案件が加速審査の条件に該当しない場合、手数料は返還されない。
台湾商標法は先願主義を採用しており、出願順に審査されるが、商標登録出願は年を追うごとに成長しているところ、審査のマンパワーには限りがあり、審査期間の短縮には限界がある。しかし、産業の発展及び民衆の権利保護のニーズに合わせるため、新しく改正した商標法では、商標登録の出願人が権利を即時に取得する必要がある場合、一般の出願の審査日程を圧迫することを避け、利用者の手数料負担原則の下、加速審査メカニズムを新設・推進し、迅速に商標登録を取得するルートを提供することで、商標登録取得の効率を大幅にアップさせることができる。智慧局は、権利を即時に取得する必要がある出願人に対し、この制度の利用を呼びかけている。
関連情報については、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(商標註冊申請案加速審查作業程序發布版、中国語PDF文書)。
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。