アップル、iPhone12発売に向けラーガンと特許使用許諾の交渉開始
2020/06/05 台湾アップルはスマートフォン新機種iPhone12を9月以降に発売するとされている。市場関係者によるとiPhone12の広角カメラレンズの設計が、台湾の光学レンズ最大手である大立光電(ラーガン・プレジション)の特許に抵触する可能性があると見られ、アップルが使用許諾の交渉を開始した模様である。これが実現すれば、ラーガンはアップルからの受注だけでなくライセンス料収入も得ることができ、アップルサプライチェーンでの唯一無二の存在となる可能性もあると見られている。
iPhoneカメラの主なサプライヤーは、ラーガン、台湾の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル;GSEO)及び日本のカンタツ株式会社が含まれている。今回のニュースを受け、ラーガンは「特許交渉を進めてはいるが、秘密保持条項があるため相手は明かせない」とコメントした。また、ジニアスは、「聞いたことがない話だ。コメントは控える。」と述べるにとどまった。
ラーガンは10年前、日本富士フィルムから特許訴訟を提起され、最終的にラーガンが特許許諾を取得して2013年に和解したことがある。これを教訓にし、2013年にはラーガンの林恩平執行長の主導で、ジニアスとサムスン電子を特許権侵害で提訴する特許訴訟戦を開始し特許を固めてきた。ジニアスとの訴訟は、アップルの仲裁により2016年に和解したと言われており、サムスン電子との訴訟は当時「エビが鯨に挑む」と形容され市場を沸かせたが、その後無事に和解しラーガンはサムスンの受注を獲得した。
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。