知的財産裁判所2019年度民著上字第12号審決
2020/06/18 IP 判決【判決概要】
B 氏が在職中に締結した労働契約書、情報安全同意書は、いずれも従業員が A 社の業務を処理するために A 社のコンピュータープログラムを使用、複製することを禁止、制限していない。B 氏はA 社の要求に応じて、就業時間中または休暇期間中を問わず、問題発生時に直ちに A 社のサーバーにアクセスして緊急対処や開発、メンテナンス作業を行わなければならないため、個人用のパソコンに A 社と同じ開発環境を設定、保存しておかなければならず、退職後においても A 社の質問に回答するための参考としていたとB 氏が弁解した。これによれば、押収されたパソコンと予備用ハードディスクに控訴人の会社サイトのサーバーと同じプログラムやファイル名などが保存されていたことは説明がつき、信用することができる。B 氏がA 社の在職中、もとより仕事の権限および必要性によりプログラムを複製する権限がある。B 氏のパソコン及びハードディスク内に A 社のサイトのプログラムがバックアップされていたが、退職後にA 社のサイトのサーバーにアクセスしてはならないこと、B 氏のパソコンに B 社のプログラムが保存されていたことだけを理由に、それらのプログラムが退職後に違法に複製されたものであるとただちに認定することはできない。
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