知的財産裁判所2015年度行商訴字第41号審決
2015/10/08 IP 判決原告 DKH RETAIL LIMITED
被告 経済部知的財産局
参加人 勤美服飾行 黄克勤
主文:
訴願の決定と原処分を取り消す。
登録商標第1589080号の「SUPERFLY」を取り消すべきである。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実:
1. 参加人は2012年12月20日に「SUPERFLY」という商標を商標法施行細則第19条の指定商品・役務分類表による第25類の「シャツ、タンクトップ、Tシャツ、ズボン下、コート、ズボン、女性用被服、被服、男性用被服、デニム製被服、衣服、履物、女性用履物、男性用履物、スリッパ、マフラー、ターバン、帽子、靴下、ベルト」を指定商品として被告に登録出願した。その後、被告の登録査定を受けて登録番号第1589080号(以下係争商標という)として登録された。
2. 原告は2013年10月31日に、係争商標の登録が商標法第30条第1項第10、11、12号に該当したことで、異議申立てをした。
3. 被告は係争商標の登録は同法第30条第1項第10、11、12号の規定に該当せず、2014年10月14日に中台異字第1020788号の商標異議決定書にて異議申立て不成立と処分を下した。
4. 原告は不服で経済部に訴願を提起したが、経済部は2015年2月24日に訴字第10406301170号訴願決定で棄却した。原告はさらに本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1. 商標の識別力の強弱
本件引用商標は「SUPER」と「DRY」で構成され、両者とも既存の単語だが、その指定商品とは必然的な関係があるとは言えないし、同業者の取引においても使用する必要がない。従って、恣意的商標に認められ、相当な識別力がある。
2. 係争商標と引用商標には類似関係の有無
両商標の中で特に際立って格別な識別力を有する部分がないため、「SUPERFLY」と「SUPERDRY」全体で比較観察を行う。ゆえに、外観から見ると、両商標は同じく8つのアルファベットで構成し、組み合わせは「SUPER」から始め「Y」で終わり、違いは「FL」と「DR」の二文字のみだ。その上、両商標の称呼においても、相違する部分の「FLY」と「DRY」の発音は類似するとみられる。また、「SUPERFLY」と「SUPERDRY」の意味は違うが、我が国は英語圏の国ではないため、その差異が必ず一般の関連消費者に知られているとはいえない。従って、両商標は非常に類似度が高いというべきだ。
3. 指定商品の類似
係争商標の指定商品は「シャツ、タンクトップ、Tシャツ、ズボン下、コート、ズボン、女性用被服、被服、男性用被服、デニム製被服、衣服、履物、女性用履物、男性用履物、スリッパ、マフラー、ターバン、帽子、靴下、ベルト」であり、引用商標の「手提袋,皮夾,錢包,手提包,雨傘,皮革,皮製馬具,嬰兒揹帶,包裝用皮袋」、「衣服,鞋,圍巾,領帶,尿布,帽,襪,服飾用禦寒用手套,服飾用皮帶,綁腿,圍裙,鞋用防滑器」などの指定商品と比較してみれば、両者とも被服又は関連のある商品に属する。また、それらの機能、材料、生産、販売チャネルには何れも関連する部分があり、社会通念及び市場取引状況から見れば、関連諸費者に商品の出所の混同をもたらしやすく、それらの指定商品には相当な関連性がある。
4. 引用商標は係争商標より広く認識されている
原告が提出したウェブサイト、公式ブロッグ、フェイスブック、看板、ポスター、カタログ、財務報告、台湾における宣伝広告、台湾支店の書類によると、引用商標の「SUPERDRY」は同社2003年創立してから男性・女性用の被服に使われており、現在、40カ国以上に販売拠点があり、ネット通販によって101カ国で販売していることが分かる。ゆえに、引用商標は係争商標より関連諸費者に認識されていることを認め、より広い範囲で保護すべきである。
5. 叙上の理由により、識別性の強弱、商標の類似性、指定商品の類似性、関連消費者の熟知程度などを総合的に判断すると、関連消費者に両方は同一の商標、若しくは使用者の間に関連企業、受諾関係、加盟関係又は他の類似関係があると誤認させ、混同誤認させる恐れがある。従って、係争商標が商標法第30条第1項第10号に該当する。