知的財産裁判所2015年度行商訴字第122号判決
2015/01/29 IP 判決原告 美商吉普(ITM)公司 GAP(ITM)INC.
被告 経済部知的財産局
参加人 黄柏誠
主文:
訴願の決定と原処分を取り消す。
登録商標第1479560号の「Stopgap」を取り消すべきである。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実:
1.参加人は2011年1月24日に、2010年5月4日に頒布された改正商標法施行細則の第13条の指定商品・役務分類表による第25類の「ティーシャツ、ベスト、シャツ、人工皮革製の被服、毛織ジャケット、外衣、ジャケット、レジャー用の靴、男性用の履物、スリッパ、靴下、ベルト、帽子、マフラー、被服用手袋」などを指定商品として被告に「Stopgap」を登録出願した。その後、被告の登録査定を受けて登録番号第1479560号(以下係争商標という)として登録された。
2.原告は係争商標の登録時、すなわち2003年11月28日付き施行の商標法第23条第1項第12、13号に該当したことで、無効審判を請求した。
3.被告が審査を行った期間は、2012年7月1日商標法の改正に当たるから、被告は商標法第106条第1項に基づき、係争商標の登録は当時の商標法第23条第1項第12、13号及び現行商標法第30条第1項第11、10号の規定に該当せず、2014年3月5日付の商標評定書にて無効審判の請求が成り立たない旨の処分を下した。
4.原告は不服で経済部に訴願を提起したが、経済部は2014年8月4日付の訴願決定にて訴願を棄却した。それに対し、原告は不服で本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1.引用商標の「GAP」は著名商標に該当するかについては、関連事業者や消費者に広く認識されることを十分に認定可能な客観的証拠が提示され、原告・被告共に異存がないから、識別力の高い著名商標として認められる。
2.主要部分観察法とは、商標の類否を判断するとき、商標の中で特に際立って格別な識別力を有する部分を主要部分として比較観察を行うことである。係争商標の「Stopgap」において、「gap」は著名商標の「GAP」のアルファベット小文字であり、フォントの相違があっても関連消費者の注意を引きつけやすい部分となる。従って、係争商標は「gap」という特定部分の存在により識別機能が発生又は向上するから、主要部分の「gap」と付属部分「Stop」と分けられると認識される。
3.係争商標の「Stopgap」は特定の意味を有する英単語であるが、常用単語ではない。その上、我が国は英語圏の国ではないため、「Stopgap」の意味は必ず一般の関連消費者に知られているとはいえない。また、「Stop」と「gap」とは両方とも簡単な英単語で、「gap」の前に「Stop」を付加すると、係争商標は関連消費者に「GAP」を止めるという意味合いで理解され、さらに「gap」を主要部分として認識されるようになる。
4.二商標について指定商品を比較すると、それらの機能、材料、生産、売場には何れも共通又は関連する部分が見られる。また、識別力の最も強い主要部分となる「gap」と「GAP」は外観、称呼または観念においても同一であるから、係争商標が引用商標の名誉を便乗する客観的な事情があり、関連消費者に混同誤認させる可能性が高い。