知的財産裁判所2010年度行商訴字第145号
2011/01/27 IP 判決原告 Apple Inc.
被告 経済部知的財産局
参加人 山宝伝播有限公司
主文:
訴願の決定及び原処分を取り消す。
登録番号第1330810号「Apple Line及び図」の商標異議申立事件について、本判決に基づき新な処分をすべきである。
原告のその他の訴訟を棄却する。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実:
1.参加人である山宝伝播有限公司は2007年11月23日に第18類の「財布、かばん、ショルダーバック、ハンドバック、トラベルケース、傘、牛革、ペット用服」などを指定商品として被告に登録出願し、係争商標は2008年10月1日に登録番号第1330810号として登録された。
2.原告は係争商標が商標法第23条第1項第12~14号の規定に違反したことで異議申立てを請求した。
3.被告は2010年2月25日に中台異字第980021号の商標異議決定書にて異議申立て不成立と処分を下した。
4.原告は不服で訴願を提起したが、経済部により2009年12月8日に訴字第09806122470号にて棄却され、本裁判所に行政訴訟を提起した。
判決の旨:
1.係争商標は欧文字の「Apple Line」とりんごの図形からなり、引用商標の「APPLE」、「APPLE LOGO」などの商標と比較すると、係争商標のりんご図形は音符と結合してなる設計であり、引用商標の切りかけを有するりんごの設計とは異なるが、両方ともAPPLEの文字とりんごの図形を有するから、それらの観念は同じである。また、係争商標の「Apple Line」と引用商標の「Apple」とは何れも欧文字からなり、それらの外観と構図は類似している。現在、引用商標は世界的に著名な商標であり、長年の使用に伴って、その商標の識別性が強化されているから、すでに一般人に周知され、もし他人に便乗使用されると、関連消費者の誤認が生じる恐れがある。
2.著名商標
著名商標は著名度及び多角化経営の程度により保護の範囲が異なる。もし該著名商標の商標権者の多角化経営の程度が高ければ高いほど、一般公衆に熟知され、その保護範囲は同一又は類似した商品や役務に限らなず、関連性の低い商品や役務をも含むこととなる。係争商標の指定使用した商品は引用商標の指定使用した商品と完全に同一ではないが、重複する所が全くないとはいえない。また、原告の引用商標はコンピュータ類商品に指定使用されているだけではなく、関連する非コンピュータ類商品にも幅広く使用されている。言い換えれば、引用商標は原告の商品及びサービス業における長年の多角化経営により、その経営形態はもはや伝統的な実体店舗に限らないから、その保護範囲はその指定使用した商品の類別に限らないとすべきである。
3.叙上により、係争商標と引用商標とは類似したものであると判断すべきであり、「係争商標が商標法第23条第1項第12号、第13号、第14号規定に該当せず、異議申立てが不成立」という原処分は妥当でない。また、それを指摘せず原処分を維持する訴願の決定も妥当でない。従って、原告の訴願決定及び原処分を棄却すべきという理由が認められる。