医療界が強制実施権発動を呼びかけ
2020/04/16 台湾台湾の(新型コロナウイルスに対する)防疫は好成績を奏している。こうした中、医療界は次のように呼びかけている。すなわち、部署横断体制で呼吸器国家チームを設立すべきであるが、現実には多くの特許技術が国外大手メーカーに握られている。したがって、知的財産局は「強制実施権」の発動に協力すべきであるとの呼びかけである。
これに対し知的財産局は、「それは最後の手段」であり、下手をすると台湾の名声に影響が出る恐れがあることから慎重に進めなければならないとの見解を示した。一方、専門家は(特許ライセンスではなく)「買取保証」方式を採用して国外の大手メーカーと提携関係を構築することを提案している。
医療界では、台湾内には重症呼吸器の製造力はあるが、特許が国外の五大メーカーの寡占状態であり使用することができないという問題があると見ている。
台北医学大学医療バイオテクノロジー法律研究所の李崇僖所長は、メディアにおいて、防疫情勢の中、知的財産局が「国家緊急危機」のため、特許の強制実施権を発動し台湾業者の使用を許可すれば、回り道をしなくて済むと呼びかけている。
知的財産局の洪淑敏局長は、このような訴えに対し慎重な態度であり、これは知的財産局が一方的に決定できるものではなく、指揮センターが国家緊急命令を発表して始めて、知的財産局は強制実施権手続を進めることができるが、「これは最後の手段」であると述べた。
洪淑敏局長はさらに、国外企業が心血を注いで取得した特許に強制実施権を発動すれば、「諸刃の剣」となり、下手をすると台湾の名声に影響することになると強調した。一番良いのは双方が協議した上で関連特許を取得することがベストであると述べた。
また、これについて工業技術研究院(ITRI)の張慈映バイオメディカル組長は、次のように分析した。台湾メーカーが自力で重症呼吸器を生産するには少なくとも2~3年かかると思われ、この間には多くの検証、パラメータ設定、安定度抑制等すべきことがたくさんある。強制実施権は確実に早いが、難度は高い。主に、台湾はこれらの国外の大手メーカーに管轄権がないため、本当に強制実施権を発動して台湾メーカーに商用させる場合、中国が過去に犯してきた知財権侵害の紛争が引き起こされることになるだろう。そこで、台湾メーカーには次善の策として、国外の次のレベルの呼吸器メーカーと提携し、一定の機器数量を分けてもらうやり方もある、と提案した。
※本文章は『台湾知的財産権ニュース』から転載されたものです。