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料理レシピに「著作権」なかった 「創作料理」も法的に守れない?

2016/02/20 国際

料理の材料や調理方法を書いたレシピが、インターネットのブログなどに無断で転載されるケースが増えていることで、料理研究家らが困惑している。

テレビや雑誌などに取り上げられたり、料理教室などでお金をとって生徒に教えたりしたレシピが許可なく公開され、誰でも見ることができるようになることで、「自分のアイデアなのに...」「(お金をとっている)他の生徒に申し訳ない」との思いを募らせている人たちが相次いでいる。

 

■調理の手順や方法は誰でも思いつくので......

インターネットの普及で、身近になってきたのが著作権。「自分の作品がパクられた!」という人はもちろん、自分がオリジナルと思っていた作品が「著作権法に違反している!」と指摘されたり、不安に思ったりする人が増えてきている。

 

なかでも料理レシピは、自身のブログなどで公表するケースが増えている。また、日本最大級の料理サイト「クックパッド」では、自分が作りたい料理のレシピを簡単に検索したり、作った料理のレシピを手軽に公開したりするケースが目立っている。そうした中で、料理研究家らが自身の料理教室で教えたレシピを生徒などが無断でブログやクックパッドに転載するケースも後を絶たないという。

 

実は、料理のレシピは基本的に「著作権の保護の対象にはならない」とされる。

知的財産権に詳しい、アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士によると、「まず、著作物として保護の対象となるためには『思想や感情を創作的に表現したもの』でなければなりません。『創作者の個性が表現されていること』が大事なので、同じものをつくれば誰でも基本的に同じ表現になるだろうという表現物や、頭の中で思いついたアイデア自体は保護の対象にはならないとされています。要は、『その人がつくったからこそ、その表現物になる』という関係が必要なんです」と説明する。

 

たとえば、材料や調理方法などを「レシピ」に表したとしても、肉や水、塩の分量とか、弱火で煮るとか、焼く、蒸すといった調理の手順や方法は、誰でも思いつくようなことなので、著作権保護の対象にはならないというわけだ。

篠田弁護士は、「なかなか思いつかないような独創的なアイデアであれば、法的に保護されるというイメージがあるかと思いますが、あくまで日本の法律では、『アイデア自体』をそのまま保護することにはなっていません」と話す。

 

つまり、料理専門家らが自身の料理教室やテレビや雑誌などで公開したレシピを、一般の人が自身のブログやクックパッドなどに投稿、公開しても、そのことが著作権法に違反する可能性は低いのだ。

 

■「特許」や「商標登録」で権利を守る方法もあるが......

一方、料理のレシピを創作的に表現した「料理の盛り付け・写真・文章」については、著作権の保護の対象となる可能性がある。料理をおいしそうに美しく、また変わっている盛り付け方だったり、色合いがきれいな写真を使っていたり、料理のつくり方を個性的な文章で表現したりするようなケースであれば、保護の対象になる。

 

また、1品1品のレシピについて著作権法を適用することは難しいようだが、多くのレシピを集めた「レシピ本」や「レシピ紹介サイト」などになると、「それ全体として著作権法の保護対象となることは十分に考えられます」と、前出の篠田弁護士は指摘する。

 

また、著作権侵害とはいえなくても、商業的価値のあるものをそのままコピーしたり複製したりする行為が、不法行為として損害賠償請求の対象となる可能性がある。たとえば、クックパッドなどに公開されている料理は、1品だけを自身のブログに転載しても違法の可能性は少ないが、いくつかをまとめて転載したとなると違法となる場合があるというわけだ。

 

一方、料理のレシピを「発明」として特許庁に登録している場合には、勝手にこれを使うと特許権侵害となる可能性がある。実際、あるレストランでは、ソースのつくり方を特許登録している。さらに、創作料理のメニューなどを商標登録している場合は、これを勝手に使うと商標権侵害とされるかもしれない。

 

さらに、公開されていないレシピを「営業秘密」としているケースでは、これを不正取得や不正持ち出しで使うようなことがあれば、不正競争防止法に違反する可能性も出てくる。

 

ただ、「レシピは、非常にグレーゾーン」(篠田弁護士)なので、特許や商標登録を済ませたとしても、ケース・バイ・ケースで判断が異なり、「絶対、大丈夫」とはいえないようだ。

 

本文章は『JCASTニュース』から転載されたものです。

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