中国の特許出願、8年連続首位 世界全体の半分占める
2019/10/16 中国世界知的所有権機関(WIPO)は16日、2018年の中国の特許出願件数が前年比12%増の154万件に達したと発表した。世界全体の5割近くを占め、8年連続で首位となった。人工知能(AI)など最先端技術の知財分野では、中国を筆頭にアジアが世界をけん引する構図が鮮明になっている。
世界全体の特許出願件数は5%増の332万件と過去最多を更新した。国・地域別で2位は米国の59万件、3位に日本(31万件)、4位に韓国(20万件)と続いた。上位の順位は前年と変わっていないが、日米は前年比では減少した。
中国の出願はコンピューター技術やデジタル情報通信、電子機器分野が多い。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は次世代通信規格「5G」などで技術開発を加速し、出願を増やしている。日本勢は三菱電機やキヤノン、トヨタ自動車などの出願が目立つ。
WIPOのガリー事務局長は「アジアはイノベーションの世界的なハブに成長し、今後も出願で他の地域を上回る傾向が続くだろう」とみる。デザインの独自性などを保護する「意匠権」の登録出願は6%増の131万件、商品やサービスの名称を守る「商標権」も16%増の1432万件と、いずれも過去最多となった。AIや自動運転などの開発競争が激しくなっており、当面は知的財産権保護のため出願の増加は止まりそうにない。
米中は先端技術の覇権争いを繰り広げている。中国政府はハイテク産業育成策「中国製造2025」を掲げ、巨額の補助金を企業に投じて支援する。これに対し、トランプ米政権は中国の知的財産権の侵害や外資に対する技術移転の強要を批判している。一方、日本の出願は依然高水準だが、件数は減少傾向で科学技術立国としての地位の後退が鮮明になっている。
※本文章は『日本経済新聞』から転載されたものです。