「宇治」だけで260件、後絶たない中国での無断商標…異議申し立て相次ぐ
2021/04/05 中国中国で日本の地名が無断で商標出願される被害が後を絶たず、日本の自治体や業界団体が中国当局への異議申し立てを強化している。ブランド価値維持のため、日本政府も申し立てを後押ししており、中国側の姿勢の変化もあって異議が認められるケースも増えている。ただ、認められても別の業者が再び同様の商標を出願する「いたちごっこ」になっており、被害の根絶には時間がかかりそうだ。
「そっくりじゃないか」。2019年5月、中国・上海で開かれた飲料の国際展示会を訪れた京都府宇治市の茶製造販売会社「丸久小山園」の男性社員(38)は、中国企業が出展していたブースを見て言葉を失った。
和服のような衣装を着た女性が抹茶を振る舞うブースには「宇治小山園」の看板が掲げられ、丸久小山園の商品とデザインがうり二つのパッケージの茶葉が並べられていたからだ。
丸久小山園は江戸時代創業の老舗。海外での抹茶人気を受け、海外販売も強化しているが、4年ほど前から中国で模倣商品が流通するようになったという。
模倣商品の多くが中国で商標出願され、「宇治小山園」も登録されていた。同社によると、損害額は推計約2億円に上るといい、男性社員は「育ててきたブランドが踏みにじられている」と憤る。
※本文章は『読賣新聞』から転載されたものです。