パロディーTシャツ販売店 商標法違反容疑で一斉捜索 大阪
2016/10/26 国際ナイキやアディダスなど有名ブランドのロゴマークをおもしろくアレンジした、いわゆるパロディーTシャツの販売は、商標法違反の疑いがあるとして、警察は、大阪の複数の販売店を一斉に捜索しました。パロディーTシャツは、大阪の笑いの文化の一つとして若者を中心に人気があり、ブランドイメージや商標権の保護との兼ね合いで、どこまで許されるのか議論を呼びそうです。
摘発されたのは大阪・ミナミにあるTシャツなどの販売店で、26日昼前、警察の捜査員が、商標法違反の疑いで6つの店に一斉に捜索に入りました。
捜査関係者によりますと、これらの店では有名ブランドのロゴマークをおもしろくアレンジした、いわゆるパロディーTシャツが1枚3000円程度で販売されています。デザインは、ナイキに似せたロゴマークに「NICE」と書かれたものや、アディダスに似せたあじの開きのようなロゴマークに「ajidesu」と書かれたものなどさまざまです。
パロディーTシャツは、大阪の笑いの文化の一つとして若者を中心に人気があり、観光客の土産品としても売れています。
一方で、メーカーからは、ブランドイメージが損なわれるなどとして厳格な取締まりを求める声も上がっています。
警察は商品を押収するとともに、店の関係者から事情を聞いて販売の実態などを調べています。
専門家によりますと、パロディー商品は、本物と見分けがつきにくいコピー商品とは区別され、商標法違反の疑いで摘発の対象になるのは異例だということです。
ブランドイメージや商標権の保護との兼ね合いで、パロディー商品がどこまで許されるのか議論を呼びそうです。
専門家「明確な線引きは難しく ケースバイケース」
知的財産権や商標権について詳しい冨宅恵弁護士は、パロディー商品の販売店を警察が摘発するケースは異例としたうえで、次のように話しています。
「違法か適法かの判断の線引きは、元の商品と明確に区別することができるかや、元の商品の価値をおとしめていないかがポイントですが、明確な線引きは難しく、ケースバイケースの判断になります。パロディー商品を製造・販売する際は、元の商品の権利を害していないか、慎重に判断する必要がある」と話しています。
「デザインがかわいい」「違法になると思う」
大阪・ミナミに遊びに来ていた若い女性は「パロディーTシャツは着ている人も多いし、はやっています。違法かどうかわかりませんが、デザインがかわいいので、問題ないのではと思います」と話していました。
また、有名スポーツメーカーのロゴマークに似たデザインのトレーナーを買った男性は「安くていいなと思って買いました。特に違和感はありません」と話していました。一方で、「違法になると思うので、欲しいとは思わないです」と話す女性もいました。
本文章は『NHK NEWS WEB』から転載されたものです。