現存する日本最古の登録商標は何か?
2018/10/31 日本平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して満150周年に当たります。特許庁は明治150周年記念事業として商標登録継続記念証を発行します。明治時代から継続している商標権について、権利者の希望に応じ、明治時代の登録証を模したデザインの記念証を発行します。
ということだそうです。もちろん法律的な権利には関係なく、レプリカを記念品として贈呈するということです。なかなか粋な計らいですね。
対象になるのは、明治(1912年7月30日以前)から継続維持されている商標権の権利者ということです(権利者側から応募することが必要です)。
実際に対象になる商標登録がどれくらいあるのが調べてみました。特許情報プラットフォームの商標出願・登録情報メニューで「登録日」に:19120730を入力して検索すると列挙できます。全部で296件あります。
今でも普通になじみのある商標もあります。たとえば、「大学目薬」(明治35年11月10日登録)、三菱鉛筆のマーク(明治36年2月27日)、NEC(明治36年11月19日)、高島屋(明治37年7月27日)、ビクターの犬(明治38年5月23日)などです。
最古のものは百萬石酒造株式会社の明治35年7月16日登録の寿海という日本酒のものと思われます(全体的に古い登録商標には日本酒のものが多いです)。上記の「大学目薬」もわずか4カ月違いなので結構古いですね。
商標権は、特許権や著作権とは異なり権利切れの期限があるわけではなく、更新料さえ支払えば永久に存続します(いわゆる老舗ブランドは何百年も続いていくことから当然です)。そういう意味では商標権はきわめて強力な権利なのですが、肝心の商品やサービスに需要がないのに商標権だけ持っていても意味がありません。老舗ブランドの商標には長年の信用が結び付いているので価値があります、そして、権利者はその価値を無駄にしないために商品やサービスの品質向上にいっそう努力します。こういう良循環を作り出すことも商標制度の意義のひとつです。
※本文章は『栗原潔の記事一覧』から転載されたものです。