特許訴訟で稼ぎまくるパテント・トロールの親玉企業が発見される
2022/11/08 国際自社特許を侵害している企業や人物に対し訴訟を起こすことで巨額の損害賠償やライセンス料を得ようとする企業は、「パテント・トロール」と呼ばれています。アメリカのデラウェア州では、パテント・トロールによる裁判事例が数多く存在し、裁判官がパテント・トロールに対する常設命令を出すまでに至っています。2022年11月4日の公聴会では、パテント・トロール企業の糸を引く親玉企業の存在が明らかになりました。
デラウェア州の裁判官であるConnolly氏は、2022年4月18日に特許訴訟における常設の命令を出しました。命令は、「訴訟資金の調達に関する契約を開示すること」「当事者に利害関係のあるすべての個人および企業の名前を開示すること」「必要情報が変更された場合は速やかに補足説明を提出すること」「訴訟を開始してから14日以内に当事者に利害関係のあるすべての個人および企業の名前と市民権を証明すること」の4点です。
この命令を受けて、パテント・トロール企業であることが指摘されている「Lamplight Licensing LLC」「Nimitz Technologies LLC」「Mellaconic IP」の3社が訴訟資金の調達に関する契約の開示命令の順守に関する審理を受けました。
裁判所は審理にこれらの企業の代表者と弁護士の出席を命じていましたが、Lamplight Licensing LLCからは弁護士1人しか出席しませんでした。その弁護士によると、Lamplight Licensing LLCは「MAVEXAR LLC」という企業と取引をしており、この企業はLamplight Licensing LLCの「代理人」で、特許訴訟について「助言」をしているとのことです。
また、Lamplight Licensing LLCが開示した事業所の住所は私書箱を示しており、Connolly氏は私書箱が主要な事業所を示すことは適切ではないと指摘しました。
Nimitz Technologies LLCとMellaconic IPの社長の証言では、MAVEXAR LLCから「MAVEXAR LLCが用意する『ターゲット』に訴訟を起こす」という取引を持ちかけられたとのこと。MAVEXAR LLCが用意した「ターゲット」は自身のLLCを設立し、「訴訟に伴う和解額の5%~10%を受け取る」代わりに「裁判で敗訴する」ことに同意していました。
これらのパテント・トロール企業の裏で糸を引くMAVEXAR LLCは、弁護士を選出し、「ターゲット」の選択、訴訟の戦略、および和解を管理することで利益を得たとされています。
Connolly氏が出した常設命令によってパテント・トロール企業の実態が明らかになりつつあり、デラウェア州では今後も公聴会などが行われるとされています。
※本文章は『Gigazine』から転載されたものです。