味よし姿よし、その名は「頂鱒(いただきます)」 日光の水産業者が開発、商標登録
2017/07/16 国際プロの料理人らが高く評価する県産の養殖ニジマスがある。その名を「頂鱒」(イタダキマス)という。日光市で淡水魚の生産と卸を手掛ける神山水産の神山裕史(ひろぶみ)さん(50)が開発し、今年2月に商標登録した。今月、宇都宮市の飲食店が相次いで「頂鱒」を使った新メニューを商品化。店主らは「その味をぜひ多くの人に知ってほしい」と話す。 (吉岡潤)
神山さんがニジマスの研究に取り掛かったのは十一年前。「味も良く、姿も美しくして、淡水魚の中でイワナやヤマメに比べて格下のニジマスのイメージを変えたかった」と語る。
神山さんによると、ニジマスは通常、二年で成熟して卵を産むが、さらに長い期間、成長を続ける個体がいる。その中でも姿形がいい個体を選んで残し、良質なえさを与えて育てた。
そして四年前、四年で成熟する品種の繁殖に成功した。成熟までの期間が長くなる分、肉質が良好なまま大型化するのが特徴。「頂点を目指すニジマス」という意味を込めて「頂鱒」と命名した。
商標登録する前から県内外の料理店やホテル、放流用に釣り場などに出荷してきた。味や姿、釣ったときの手応えも人気で、群馬県沼田市で管理釣り場「ベリーズ迦葉山(かしょうざん)」を経営する黄栄主(こうえいしゅ)さんは「頂鱒を狙いに来て、釣るだけでなく持ち帰る人が多い」と話す。
宇都宮市のイタリア料理店「リンシエメ」では、今月から「頂鱒のスモークと夏野菜のサラダ」をメニューに加えた。県内の料理人でつくる「栃木淡水魚料理研究会」の一員でもある同店オーナーシェフの高梨方明(まさあき)さん(36)は「川魚の臭みがなく、食べるとみんなびっくりする」と評する。
同市の「らあめん厨房(ちゅうぼう)どる屋」店主で、同研究会代表の落合泰知(やすとも)さん(58)は頂鱒をスープに生かした「黄金の頂鱒ラーメン」を考案。頂鱒の刺し身も添え、二十二日から店で出す。「さっぱりしていて、うまみも感じるスープになった」と素材の力を認める。
本文章は『東京新聞社』から転載されたものです。