オンライン授業のニーズに合わせ、立法院は著作権法の一部条文改正草案を最終可決
2022/05/27 台湾現在のデジタルテクノロジーの発展、教育政策及びコロナ禍に対応し、立法院は27日、「著作権法」の一部条文改正草案を最終可決した。学校における授業の延長のオンライン授業で他人の著作物を利用する場合、他人の著作物を公正に利用(フェアユース)できる規定により教師が安心して授業を行えるようにした。また、デジタル教育政策に合わせ、教科書の編集者が教師の使用向けにデジタルファイルを伝送することができることを新設し、電子カバン(電子教科書)の運用により学生の重すぎるカバンの負担を軽減した。このほか、国家の文化発展の目的を促進するため、国家図書館が一定の条件に符合することを条件に、その館内で所蔵書籍の著作物を複製デジタル化し、館内での電子閲覧を読者に提供できるよう特別に新設した。
今回の改正ポイントは以下のとおり:
一、 学校側は登録済みの学生に対し、オンライン授業において他人の著作権を公正利用できることを新設
現行法では教師は授業現場で授業を行う際に限り、合理的な範囲内で資料をコピーし学生に提供することができるが、テクノロジーの発展に合わせ、教師がオンライン授業時に対面授業のとおりにできるよう、教師が学校の授業目的の必要範囲内で、参考文章又は資料をインターネットで学生たちの参考用に提供することができる旨を特別に新設した。コロナ禍による学校での授業停止、オンライン授業のニーズに対応し、教育効果を拡大させ、国際潮流及びテクノロジーの発展の趨勢にも符合する。また、著作財産権者の権益を過度に侵害しないよう、学校側は、授業登録をしていない学生がカリキュラムを受けることのないよう、合理的な技術防護措置(例:アカウントパスワード)を講ずるべき旨規定した。また、このようなオンライン授業は非常に公益性を有するものであることから、学校の教師は授業で他人の著作を使用する際、授業活動の進行に資するよう、費用を支払って使用許諾の取得なく利用できることとした。(第46条)
二、 非営利のオンライン授業で他人の著作を利用できるが、使用報酬を支払わなければならないことを新設
教育対象が一般大衆の場合のオンライン授業タイプ(例:非営利の公開オンライン講座(MOOCs)のカリキュラム授業のプラットフォームeDX等)について、現行法では公開大学(オープン・ユニバーシティ)のようなテレビ授業に対してのみ合理的使用(フェアユーズ)規定があるが、オンライン授業に対しての規定はないことから、法改正し、学校、教育機関がインターネットのオンライン授業を行う際に、他人の著作物を利用できる合理的使用(フェアユース)規定を新設した。この種の利用タイプは伝統的なラジオ・テレビの放送方式のほか、ネットワークの同期・非同期伝送の利用も含み、且つ、受講対象は一般大衆で、非常に広範であり、前述の登録学生を対象とするものと異なることから、著作財産権者の権益との兼ね合いを配慮するため、教育目的の必要範囲内での使用に限られるほか、権利者に使用報酬も支払わなければならないとした。一方、営利性質に属するオンライン授業においては、例えば、塾等の教育機関のオンライン授業は公益性を具えないことから、著作財産権者の権益を守るため、使用許諾の取得が必要であると明確に規定した。(第46条の1)
三、 電子カバンの教育ニーズに対応するため、教科書の編集者は教師・学生の使用向けにデジタルファイルを伝送することができる旨を新設
現行の規定では教科書の編集者は、教科書の編纂・改訂にあたって、他人の著作物を利用することができるとしているものの、教師・学生の使用には書面(紙本の教科書)での提供に限られており、デジタル時代に合わせ、学生による電子カバン利用のニーズに対応できていないことから、法改正し教科書の編集者が教科書をネットワークで伝送し合理的に使用できる規定を新設した。また、著作財産権者の権益保証を考慮し、このような利用の際にも著作財産権者に使用報酬を支払わなければならない。(第47条)
四、 国家図書館は館内の所蔵書籍の著作物の複製のデジタル化及び図書館でオンライン閲覧を提供することができるよう新設
国家図書館が文化発展を推進する目的を達成するため、国家図書館は館内で所蔵する著作物が消失、破損することのないよう、国家図書館が現代著作物を完璧に保存できるよう、館内所蔵の書籍の著作物をデジタル化できる旨を新設する。また、国家図書館又は一般図書館等の機関は、一定条件の制限の下で、読者に館内でオンライン閲覧を提供できることを新設し、館内所蔵の書籍の貸し出し又は閲覧の合理的使用の規定に代替するものとし、図書館のデジタル化サービスに資するだけでなく、紙の書籍の保存にも資する。(第48条)
経済部は、デジタルの発展は著作利用を多元化し、近年は世界がコロナ禍の影響を受け、オンライン授業が重要な授業手段となっていることから、今回の改正はデジタルテクノロジーの発展に合わせ、授業効果、電子カバンのニーズ及び図書館の保存とデジタル化サービスを拡大させたもので、立法院が最終可決した著作権法改正条文は、台湾が直面するデジタル時代の教育政策のニーズに符合し、教育の多元的発展を増進し、知識の普及に対し重要な積極的意義を具えるものとなると強調した。
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。