業界震撼 9年ぶりにラーガンがジニアスを特許侵害で提訴
2022/12/19 台湾台湾の光学レンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレジション)は、台湾の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル:GSEO)及びその子会社である玉晶廈門(ジニアス・アモイ)が特許権を侵害しているとして中国アモイ中級人民裁判所に特許権侵害訴訟を提起した。これは9年ぶりに二度目となるラーガンからジニアスに対する特許権侵害訴訟となり、業界を震撼させている。
ラーガンは携帯の光学レンズの世界最大手で、ジニアスは第2位であり、「長男が再度次男を権利侵害で告訴した」ことが注目を集めている。ラーガンとジニアスは共にアップルレンズの主要サプライヤーであるが、業界の予想によると、来年iPhone15のレンズ規格が大幅に向上しており、ラーガンが今回「出し抜いて」特許戦を仕掛けたことは、アップルの受注を狙いより大きな受注額と価格決定権を掌握するためではないかと見られている。
ラーガンの提訴を受け、ジニアスは、弊社には相手方が提起したような権利侵害は生じておらず、現在のところ弁護士に後続する関連処理を委託しているところであり、さらに何か進展があれば外界に向けてご説明すると述べた。いっぽうラーガンは評論することなく、重ねて弊社は従来から積極的に知的財産権の防衛に必要な措置を採っていると述べた。
ラーガンは2013年に特許戦を開始して以来、前後してジニアス、サムスン電子、HP、先進光電、新鉅科、レノボ(聯想集団)のモトローラ・モビリティに対し訴訟を提起し、いずれも遠く離れた米国で訴訟提起をしていたが、今回は初めて法廷の場が中国と近くなり、中国の光学レンズ大手である舜宇光学(サニー・オプティカル)もiPhoneサプライヤーの一つであることから、サニー・オプティカルも今回の特許戦に巻き込まれるのではないかと外界は注視している。
ラーガンが発動した特許戦でこれまで不利となったことはなく、マーケッターの分析によると、ラーガンにとって特許戦は受注額を決める際の最良の武器であり、アップルだけではないがアップルサプライチェーンに対してはなおさらである。ラーガンは去年から特許戦を通してOPPO、vivo、シャオミー、honor等の第一線ブランドと長期的供給契約(LTA)を続々と取得し、中国でのハイレベルスマホレンズの市場を確保している。
ジニアスはアップルが積極的にサポートしてきたサプライヤーで、アップルからの受注の割合が多く、前回ラーガンが2013年6月に始めてジニアスを提起した時期と、今年8月下旬のラーガンによるジニアス訴訟提起の2つの時期はいずれもiPhoneの新機種準備のための最も忙しい時期で、お得意様に「リマインド」する意味合いが濃厚である。ラーガンのジニアスに対する前回の訴訟は、最終的に2016年にアップルが調停に乗り出し双方和解で収まった。
マーケッターの分析によると、アップルのティム・クックCEOは従来サプライチェーンの管理に長けており、サプライチェーンの仕切りには非常に厳しく、近年ではレッドサプライチェーンの導入により積極的であり、中国市場での販売を固めるだけでなく、サプライヤー資源を分散し、価格の相互牽制を一層進めて、より良い利潤を獲得している。一社だけ強大な状況に直面した場合、アップルはこれまで合併合資、新規育成、専利コントロール又はスタッフ駐在派遣等の多様なやり方で、制御権と価格交渉権を掌握してきた。
ラーガンが2013年に初めてジニアスを訴訟提起した権利侵害は市場を震撼させ、アップルはより一層傘下の全てのアップル関連シリーズ製品のサプライヤーメンバーに対し、提携条約の際に関連サプライヤーに対して権利侵害訴訟を提起してはならないとする注記条項にサインするよう求めた。しかし、唯一ラーガンだけがサインしておらず、また、ラーガンが再度アップルのサプライチェーンに対し緊張をもたらしており、今回の訴訟の勝負はどうであれ、最終的にはやはり大口顧客であるアップルが調整に乗り出して始めて和解することができるとみられている。
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。