14年ぶりの大幅改正となった「智慧財産案件審理法」が立法院で最終可決
2023/01/14 台湾立法院は本日(12日)、「智慧財産案件審理法」(以下「智審法」と称する)改正草案を三読通過(最終可決)した。今回最終可決された条文は、合計77条文(新設36条文、改正41条文)で、現行法の全41条文から大幅に増加し、これは智審法が施行されてから14年ぶりの大幅な法改正となった。司法院は今回の改正について、国家重要産業の安定的発展のため営業秘密の保護をより完備したものにし、より専門的で効率が良く国際潮流に合致した知的財産訴訟制度の構築することが重点となったと強調した。
司法院によると、智審法が2008年7月1日に施行されて以来、2011年、2014年に小幅な改正がされただけで、実務事例が累積してきたため、司法院は「智審法法改正研究委員会」を立ち上げ、前後して18回の会議を開催して審理、検察、弁護士、学界及び関係機関の各方面から意見を聴取し、学理と実務運用を総合し、外国の立法例を参考にして全面的な棚おろし的検討を行い制度の変革を進めた。
今回の法改正の9つのポイントは以下のとおり:
1. 営業秘密訴訟の保護を完備:営業秘密侵害案件は、各項措置で訴訟における営業秘密保護を強化するため、いずれも知的財産及び商業裁判所(以下「智商裁判所」と称する)が審理するものとする。
今回の法改正は特に各界からの「国家重要産業の安定的経営環境の保障」への期待に応え、営業秘密訴訟保護制度について法改正を行ったもので、法改正のポイントには、①第一審知的財産民事事件は智商裁判所の専属管轄とすると明文化、②一般の営業秘密侵害罪の「第一審刑事事件」(民事附帯訴訟を含む)は、専門的で適切、迅速な審理を実施するため、智商裁判所の第一審知的財産法廷での審理に改める、③国家安全法の規定に合わせ、国家コア技術の営業秘密侵害の刑事事件は、高等裁判所に相当するレベルの第二審知的財産法廷を第一審管轄裁判所とする、④最高法院には審理の専門性を徹底するため、知的財産案件を取り扱う専門法廷又は専門科を設立しなければならない旨を明文化、が含まれる。
このほかに、営業秘密の証拠資料を保護するため、営業秘密の証拠資料を識別化するコードまたはコードネーム、証拠資料情報を知る権利を新設し、秘密保持命令制度を改正した。また、秘密保持命令に違反する罪は、非親告罪に改め、刑事責任とし、営業秘密訴訟の保護を実施するため、域外での秘密保持命令違反罪を導入した。
2. 知的財産案件の集中審理:審理計画制度の導入
新設された弁護士強制代理制度を採る特定事件、またはその他事件の事情が煩雑である、もしくは必要に応じ、裁判所は当事者と協議のうえ審理計画を立てなければならない。また、訴訟の効率アップのため、審理計画事項に違反した際の法律効果を規定した。
3. 弁護士強制代理を拡大
知的財産民事事件は高度な法律専門性を有することを考慮し、当事者の権益を保護し、審理の効率アップのため、特定の類型の知的財産民事事件(例:専利権、コンピュータプログラム著作権、営業秘密に係る民事訴訟事件、上訴第三審及び再審事件など)はいずれも弁護士強制代理とする旨を新設した。
4. 専門家の審理参与を拡大:査証制度と専門家による証人制度の導入
裁判所の新興高度テクノロジーと専門的な訴訟事件における真実発見の一助となり、証拠が偏る問題の解決、当事者の訴訟上の武器の平等化促進のため、日本特許法の規定を参考にし、起訴後に裁判所に対し、証拠収集手続きを執行する中立の技術専門家の選任を申立てることができる「査証」制度を導入した。また、専門的で適切、迅速な当事者紛争の解決のため、商業事件審理法で採用している「専門家による証人」制度の準用を新設した。
5. 紛争の一回的解決、裁判見解の違いを避ける:司法と行政の情報交流制度を構築
裁判見解の違いを避けるため、司法審理と行政審査の間の情報交流制度の構築、知的財産専門機関からの意見聴取制度、専用実施権の訴訟告知義務及び知的財産権の有効性の判断の違いについての再審制限を新設した。
6. 審理効率促進:技術審査官報告書を公開
技術審査官が作成した報告書について、裁判所は必要に応じ、全部または一部の内容を公開することができ、かつ、当事者に弁論の機会を付与して始めて裁判の基礎とすることができる。被害者の立証の困難度を低減し、また、権利侵害行為被疑者に具体的な答弁義務を課した。
7. テクノロジー設備を用いた審理、司法の電子化
テクノロジー設備を拡大運用する訴訟参与手続対象を改正し、判決書の正本を電子ファイルで送達できる旨を新設した。
8. 被害者がより積極的に権益防衛できるよう、被害者の訴訟参与制度を新設
被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法の被害者訴訟参与の規定を準用する旨を新設した。
9. 実務争議の解決
「訂正再抗弁」制度、及び「民事附帯訴訟手続」等の規定を改正し、訴訟の紛争解決機能を強化した。
司法院は、今回の法改正は知的財産訴訟の新時代の始まりであるとし、新法が順調に運用されるよう、今後引き続き各項目の知的財産訴訟研修課程を実施し、営業秘密、国家安全営業秘密訴訟の保護等の専門研修を強化し、裁判官の専門知識養成を強化し、各級裁判所が知的財産専門法廷を設置し、智商裁判所の知的財産法廷が民事刑事を取り扱うという分業制度により、専門的で適切、迅速な知的財産案件訴訟制度を構築し、台湾企業の国際競争力を強化する、と述べた。
また、司法院は、今回の法改正が順調に完了したことについて、智審法法改正研究委員及び知的財産訴訟制度に関心を持つ関連行政機関、団体からの法改正への貴重なご意見に感謝するとして、今後も立法過程において各界から提出されたアドバイスを参考にし、新制度の施行をより完備なものにするため、子法制定の検討及び関連計画の際に取り入れることを全面的に考慮すると強調した。
※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです。