SMAP解散、木村以外独立で「SMAP2」として活動の可能性は?もうヒット曲歌えない?
2016/08/18 国際8月14日未明に今年いっぱいで解散することが発表されたSMAP。メンバーは全員ジャニーズ事務所に残留し、来年以降はソロ活動を行う予定だというが、一部報道では、木村拓哉以外の4人が来年9月の契約終了時に独立、ほかの芸能プロダクションで活動する可能性についても示唆されている。
解散後、各メンバーは「SMAP」を名乗ったり、SMAPの楽曲を歌ったりすることはできなくなるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates弁護士の森惇一氏に聞いた。
「『SMAP』は、『演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏』という芸能活動の大部分を占めるであろう役務を指定役務として商標登録されているので、各メンバーは、『SMAP』の商標権者である株式会社ジャニーズ事務所(以下、ジャニーズ)から許諾を得ない限り、『SMAP』と名乗って芸能活動をすることはできなくなります。
実際には、各メンバーがジャニーズに所属しながら芸能活動を継続する場合には、ジャニーズは登録商標『SMAP』の使用を許諾すると考えられるので、商標権侵害の恐れはないといえます。しかし、各メンバーが事務所を退社した場合には、ジャニーズが『SMAP』の使用を許諾する可能性は低いといえるので、『SMAP』と名乗って芸能活動をすることはできなくなるでしょう」(森氏)
独立後に「SMAP」を名乗れない場合、「SMAP2」などの類似表現を名乗って芸能活動をすることはできるのだろうか。
「各メンバーは、類似表現を名乗って芸能活動をすることはできません。ジャニーズが保有する登録商標『SMAP』の効力は類似する商標についてもおよぶため、仮に各メンバーが類似する商標を使用した場合には、商標権の侵害行為とみなされ、使用の差止め請求や損害賠償請求の対象となります」(同)
一部で熱望されている「再結成」や「新たなSMAPの結成」は、現実的には限りなく難しそうだ。では、解散後、各メンバーはSMAPの楽曲を歌うことなどはできなくなるのだろうか。
「SMAPの楽曲の著作権の多くは、著作権等管理事業者であるJASRAC(日本音楽著作権協会)が管理しているため、各メンバーはJASRACに申請して許諾を受けた上で使用料を支払えば、楽曲を歌っても著作権法上の問題は生じないといえます。
もっとも、各メンバーはジャニーズとの間で『事務所を退社した場合にはSMAPの楽曲を使用して芸能活動をしてはならない』等の内容を含む契約をしている可能性があり、その場合には、退社したメンバーはSMAPの楽曲を歌うことができなくなる可能性があります」(同)
SMAP解散、独立後も権利問題が発生?
いずれの場合も、ジャニーズから離脱して独立となると、その後の芸能活動に大きな制約が生まれることになりそうだ。そのほか、権利関係で発生し得る問題について、森氏は以下のように語る。
「国民的アイドルともいえるSMAPであれば、そのメンバーの氏名や肖像には、商品の販売等を促進する顧客吸引力があるといえます。そのため、各メンバーは、そのような顧客吸引力を排他的に利用する権利である『パブリシティ権』を有しているといえます。
すなわち、SMAPの各メンバーがジャニーズを退社した後であっても、第三者が、例えばメンバーの写真を自らが販売する物品に大々的に貼り付けて販売するような場合等、専ら各メンバーの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とする行為をした場合、たとえ、それがSMAP時代の各メンバーの肖像等を利用した場合であっても、各メンバーが有するパブリシティ権の侵害となり、各メンバーに対して損害賠償責任を負う可能性があります」(同)
SMAP解散後、各メンバーがいずれジャニーズを退社するかどうかというのも、今後の大きなポイントとなりそうだ。
(文=編集部、協力=森惇一/弁護士法人ALG&Associates弁護士)
本文章は『Business Journal』から転載されたものです。