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2025年第1四半期の知的財産権動向

2025/04/30 IP 統計

www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1006954-6a502-1.html

 

一、専利・商標全体の出願動向

2025年第1四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は17,063件(特許12,202件、実用新案3,232件、意匠1,629件)で、前年(2024年)同期比1%増となった。そのうち特許は前年同期比2%増となった(図1参照)。台湾人及び外国人による三種類の専利出願件数の割合は、それぞれ47%、53%であり、台湾人による出願件数は前年同期比2%減となる一方で、外国人による出願件数は同5%増となった。

商標登録出願件数は21,099件であった。1件の商標登録出願で複数の区分を指定することができるため、出願区分数は27,445区分となり、2%増となった。そのうち台湾人が占める割合は77%、外国人が占める割合は23%となった。商標の出願区分数は、徐々に回復傾向にある(図2参照)。

 

二、台湾出願人による専利出願状況

(一)特許出願件数上位10出願人、TSMCが6連覇

台湾出願人による特許出願は4,355件、そのうち企業による出願は3,534件となった。特許出願件数上位10出願人は、台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数305件で首位、以降、南亜科技(NANYA127件、台達電(DELTA82件、群創(INNOLUX80件、友達光電(AUO76件、瑞昱(Realtek72件、鴻海(Foxconn69件、聯發科(MediaTek59件、英業達(Inventec54件、宏碁(Acer47件と続いた(図4参照)。そのうちTSMC2020年第1四半期から6年連続で首位となった。また、DELTAの件数と順位がともに同社の単四半期としての史上最高実績となった点も、注目に値する。

 

(二)意匠出願件数上位5出願人

台湾出願人による意匠出願は682件となった。出願件数上位5出願人は、聯府塑膠(KEYWAY)が27件で首位、以降、唐虞(TARNG YU ENTERPRISE CO., LTD.22件、宏碁(ACER18件、皇冠金属(CROWN MFG CORP.12件、統亜電子(TONG YAH ELECTRONIC TECHNOLOGY CO., LTD)、愛進化(EVOLUTIVE LABS CO., LTD.)、欣大園芸(SHIN TAI SPURT WATER OF THE GARDEN TOOLS CO., LTD.)及び家登(GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO., LTD.)が各9件となった(図5参照)。そのうちKEYWAY2年連続で1位となり、愛進化及び家登は初めて上位5位にランクインした。

 

(三)高等教育機関による特許出願の件数上位10出願人

台湾の高等教育機関による特許出願は364件となった。出願件数上位10出願人は、明志科技大学が24件で第1位、以降、国立清華大学23件、国立台湾科技大学と国立陽明交通大学が各21件、国立台湾大学18件、国立成功大学、国立雲林科技大学及び国立高雄科技大学が各15件、国立中央大学14件、国立中山大学13件と続いた(表1参照)。そのうち、明志科技大学は高等教育機関の中で初めて首位となり、件数及び順位ともに同大学の単四半期としての史上最高記録となった。

 

(四)研究機関及び国営事業による特許出願

台湾の研究機関による特許出願は72件で、工業技術研究院(ITRI)が38件で最多となった(表2参照)。台湾の国営事業による特許出願件数は18件で、台湾銀行が10件で最多となった。

 

三、外国出願人による専利出願状況

(一)特許出願人の国籍分析

外国出願人による特許出願は7,847件で、上位5か国(地域)は、日本が出願件数3,538件で1位、以降、米国の1,624件、韓国の828件、中国の706件、ドイツの230件と続いた(図3参照)。当該5か国(地域)の出願件数はいずれもプラス成長で、そのうち日本と韓国は前年同期比でそれぞれ213件増と113件増となっており、台湾市場がますます重視されていることを示している。

 

(二)外国出願人による特許出願の件数上位10出願人

外国出願人による特許出願の上位10出願人は、米国のアプライド・マテリアルズ(Applied Materials)が出願件数263件で1位、以降、順に、日本の東京エレクトロン236件、韓国の韓領221件、韓国のサムスン電子(SAMSUNG198件、日本の日東電工154件、日本のキオクシア153件、米国のクアルコム(Qualcomm144件、日本の富士フイルム91件、米国のラムリサーチ(Lam Research89件、日本のパナソニックIPマネジメント株式会社72件と続いた(図4参照)。

アプライド・マテリアルズは3年連続で首位となり、東京エレクトロン、キオクシア、ラムリサーチ及びパナソニックIPマネジメント株式会社の5社は、それぞれ各社の単四半期として史上最高の記録を達成した。台湾が世界の半導体生産と研究開発における戦略的役割を担っていることを浮き彫りにし、周辺設備のサプライヤー等がその技術と市場保護を強化するために進出しているだけでなく、台湾はその技術力と充実した知財保護により、外国企業による事業展開を引き寄せている。

 

(三)意匠出願の国籍分析

外国出願人による意匠出願は947件で、上位5か国(地域)は、米国が219件で最多、以降、日本の212件、中国の160件、スイスの79件、韓国の54件と続いた(図3参照)。そのうち米国は今季日本を抜いて首位となった。

 

(四)外国出願人による意匠出願の件数上位5出願人

外国出願人による意匠出願の件数上位5出願人は、中国の北京石頭世紀(BEIJING ROBOROCK TECHNOLOGY CO., LTD.)が58件で最多、以降、米国のアップルが45件、米国のモレックス(MOLEX INCORPORATED)が37件、スイスのハリー・ウィンストン(HARRY WINSTON S.A.)が31件、フランスのルノー(RENAULT S.A.S)が30件と続いた(図5参照)。上位5出願人による出願件数はいずれもプラス成長しており、台湾市場がより重要視され、積極的にリソースを投入して製品デザインの競争で優勢を確保する必要があることが明らかとなった。

 

四、商標登録出願状況

(一)台湾人による商標登録出願の件数上位10出願人

台湾人による商標登録出願は16,188件で、上位10出願人は、統一企業が122件で首位、以降、台鋼ホークスが111件、棨泰健康(CHE TAI INTERNATIONAL CO., LTD.)が87件、南一書局が83件、星翰が75件、琥珀東福(Amber Dong Fu Trading Company Ltd.)及び捷立康生物科技(A-TOP Health BIOTECH CO., LTD.)が各43件、中華郵政が42件、亜果元素(ADAM elements)が40件、緯來電視網(VIDEOLAND INC.)が38件と続いた(表3参照)。上位10出願人のうち統一企業以外はいずれもプラス成長となった。

 

(二)台湾人による出願の区分

台湾出願人による出願の上位3区分は、順に、第35類(広告、企業経営及び卸小売りサービス等)3,179件、第43類(レストラン、宿泊施設等)1,529件、第30類(コーヒー・茶及びケーキ等)1,352件となった(図7参照)。台湾企業による商標出願が企業経営、民生消費に関するレストラン・宿泊サービス及びコーヒー、ケーキ等の商品区分に集中していることが示されている。

 

(三)外国出願人の国籍分析

外国出願人による商標登録出願は4,911件で、上位5か国(地域)は、中国が1,212件で最多、以降、日本757件、米国708件、韓国633件、シンガポール223件となった(図6参照)。中国以外の4か国の件数はいずれも増加し、日本、韓国及びシンガポール等のアジアの国は2年連続でプラス成長となっており、各国企業が台湾市場での商標ブランド保護を強化していることが分かる。

 

(四)外国人による商標登録出願の件数上位10出願人

外国人による商標登録出願の件数上位10出願人は、韓国の杰偉品文化(JYP ENTERTAINMENT CORPORATION)が63件で1位、以降、韓国の慕新颯(MUSINSA CO., LTD.)が60件、中国の好孩子兒童用品(GOODBABY CHILD PRODUCTS CO., LTD.)が42件、米国のGR営運(GR OPCO, LLC)が41件、中国のファーウェイが34件、中国の黄承芳が33件、ケイマン諸島のテンセントが26件、韓国の布魯格里斯(BLOOMING GRACE CO., LTD.)が25件、香港の茶悅文化(CYYS (HK) BRAND MANAGEMENT LIMITED)が24件、米国の羅爾(THE ROW HOLDINGS GROUP LLC)が22件と続いた(表4参照)。上位10出願人のうちテンセントが38%減となったが、それ以外はいずれもプラス成長となった。

 

(五)外国人による出願の区分

外国人による出願の上位3区分は、順に第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)966件、第35類(広告、企業経営及び卸小売業等)623件、第3類(化粧品、洗浄剤等)550件となった(図8参照)。外国人が台湾での商標保護のために出願する場合、コンピューター及びテクノロジー製品(第9類)が中心であり、出願件数が最多であるだけでなく、成長率も比較的高い。

 

(六)産業別分析

台湾が受理した商標登録出願は、「農業食材」が5,190件で各産業の中で1位、以降、「ヘルスケア」4,337件、「商業金融」4,289件となった(図9参照)。

上位3産業の商標登録出願についてみると、台湾出願人の場合は「農業食材」が4,361件で最多となり(図10参照)、主にレストラン及び宿泊施設の商標件数が多かった。外国出願人の場合は「技術研究」が1,477件で最多であった(図11参照)。このほか、台湾出願人は「商業金融」、外国出願人は「技術研究」、「ヘルスケア」及び「服飾装飾品」の出願件数がプラス成長した。

 

注:上述の統計データの出願人及び国籍ランキングは、出願の「第1出願人」を計算の基礎とする。

 

2025年第1四半期の「四半期統計表」は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-167-1006915-5d04d-1.html)を参照。

 

※2024年第1四半期の知的財産権趨勢図表(本記事において参照している図表)は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1006954-6a502-1.html)の「檔案下載(ファイルダウンロード)を参照(中国語:智慧局114年第1季智慧財産權趨勢)。

 

※本文章は『台湾知的財産権情報サイト』から転載されたものです

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