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商標が類似するとして、これを否定した審決が取り消された事例

2024/01/15 日本

事案の概要

原告(引用商標権者)は、被告が有する本件商標(登録第6371693号下掲左9類、18類)について登録無効審判(2021-890031)を請求した処、特許庁は不成立審決をしため、知財高裁に対し、審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した事案である。無効理由は商標法4111号及び同15号違反で、引用商標3は下掲右参照。

 

本件商標の「O!Oi」の部分は、・・・丸と縦線とが交互に用いられて視覚的に際立った印象を与え、造語とも図形とも理解できる特徴的なものといえる。加えて、・・・「by」の後の「O!Oi」の部分は、出所識別標識として強く支配的な印象を与え、そうすると、「O!Oi」の部分は、本件商標全体の出所識別標識としての機能を果たし、この部分を要部として商標の類否を判断することが許される。本件要部からは「オーオイ」「オーオーアイ」の称呼を生じ得るのに対し、引用商標3からは「オーアイオーアイ」「オイオイ」及び「マルイ」の称呼を生じ得るところ、本件要部に「!」が含まれる関係で厳密には称呼が異なるものの、多くの音を共通にしており、相応に類似しているというべきである。

 

また、両者の外観についてみると、本件要部及び引用商標3は、いずれもゴシッ ク体にて四つの文字又は記号を書してなり、1字目と3字目はいずれも「O」で共通している。2字目は「!」と「I」、4字目は「i」と「I」と異なる文字又は記号が使用されているが、いずれも1本の縦線又は1本の縦線より構成される点において形状が類似している。加えて、配列も近似している。そうすると、両者の外観は、隔離的観察の下では、互いに相紛らわしいというべきである。

 

以上に加え、一般消費者は、 アパレル・ファッション・・・の出所につき、主として対象商品やロゴマークの外観等に注目するとみられること等も総合すると、両商標が本件商標の各指定商品に使用された場合には、取引者、需要者が両者の出所を見誤る可能性は否定できず、その商品の出所において誤認混同が生じるおそれがあると認められる。

 

したがって、本件商標は、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、その商品に係る取引の実情を踏まえて全体的に考察すると、引用商標3に類似する商標と認められる。本件商標は、商標法4条1項11号に該当するものと認められる。

 

コメント

本件判決は、本件商標の「O!Oi」を要部として捉えて抽出し、引用商標3と外観、称呼類似を認めて、4条1項11号該当として、これを否定した審決を取り消したものである。要部認定及び外観、称呼類似の判断は原告の主張に沿うが、従来の実務では稀有な例で、「by」の評価などユニークである。その背景には、前段で説示した「黒色の丸ゴシック体にて「OIOI」と書してなる原告標章は、遅くとも平成22年には、特許庁の審査実務においても、被服やかばん類等の商品や被服の小売等の役務に使用して著名な商標として認定・・・」との下りがあり、影響したと思われる。

 

本件事案では、原告業務範囲は広く、4条1項11号よりは同15号該当がより素直な判断となり、妥当ではなかったかと思われる。ともあれ、周知著名商標の保護に繋がればと思う。

 

本文章は『TMfesta』から転載されたものです。

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