チロルチョコ 森永から商標を入手
2016/01/13 国際「子供の小遣いで買える」とのコンセプトで1962年に誕生したチロルチョコ。名付け親は、キャラメルを主力商品としていた松尾製菓(福岡県田川市)の2代目社長でチョコレート事業への参入を決めた松尾喜宣(よしのり)さん(故人)だ。
チョコレートの本場はヨーロッパで、原料に牛乳も使う。アルプスの牧草地帯で牛が点在しているイメージが浮かんだ。「地図を広げたら、オーストリアのチロルという地名が目に入ったようです」と、長男の松尾利彦社長は明かす。チロル地方と特段関係があったわけでもなかった。
だがチロルの商標は、すでに森永製菓が取得していた。このため松尾製菓の持つ「チャンピオン」という商標と交換して入手。1個10円で売り出し、「10円あったらチロルチョコ」のテレビCMで人気に火がついた。利彦社長は「音の響き方が良いとされる『ラリルレロ』が、チロルには二つも入っていることも良かった」と先代の感性に驚く。
だがその後のオイルショックによる物価高騰で値上げを余儀なくされ、76年に30円にすると、売り上げは低迷。1粒チョコを三つ連ねた棒状の初代モデルを三つに分けることで10円に原点回帰し、売り上げを回復させた。
現在はコンビニ向けに包装にバーコードを入れ、やや大ぶりにした20円の商品も販売。時代の変化に対応しながら、年5億〜6億個を生産するロングセラーになっている。
本文章は『毎日新聞』から転載されたものです。