「特許の妖怪」から日本企業守れ、「パテント・トロール」法外な使用料要求 政府本腰、第三者委設置へ反応
2017/05/16 国際特許侵害を訴え法外な使用料を要求する「パテント・トロール」と呼ばれる海外の悪質な特許管理会社から、日本企業を守る対策に経済産業省が乗り出すことが15日分かった。要求が妥当かどうかを審議する法律の専門家らで構成する第三者委員会を設けるのが柱で、意見は裁判の証拠になる裁定書としてまとめる。パテント・トロールの言いなりで和解金などを支払うような事態を防ぐのが狙いで、平成32年度にも実施する。
米国でパテント・トロールの被害が急増し、日本企業が巻き込まれた事例も報告されていることから、対策が急務と判断した。
行政官庁が法的な効力を持つ裁定書を作り、パテント・トロールから企業を守るのは世界初の試みとなる。政府は来年、対策を整備するための特許法改正案を国会に提出する方針だ。
経産省は、パテント・トロールが日本の破綻企業などから大量に日本の特許を購入し、似た商品やサービスを展開する企業に対して、高額な賠償金などを求める事態を想定。企業が訴訟に巻き込まれたり、法外な和解金を支払ったりしないように、経産省が中立な立場で特許の利用料金などを若干の手数料で判定する。
具体的には、パテント・トロールに金銭を要求されたという申し出に応じて経産省が事案ごとに委員会を開催。委員会では、同省が選んだ企業OBなどの知財専門家が、特許の種類や企業の業種、双方の主張などを公平に見極め、適正な利用料率や支払い方法などの契約条件を示す。同省は委員会の判断を基に、裁定書を作成し、企業がパテント・トロールから訴えられた際には証拠として活用できる。
委員会の期間は半年~1年弱が想定されており、双方の関係者が出席する仕組みも検討する。委員会に持ち込まれた時点で、パテント・トロールが要求を取り下げる可能性もあるとみられ、企業にとっては訴訟コストを抑えられるメリットがある。
本文章は『産経WEST』から転載されたものです。