女性アスリート画像の無断転載、計1億2千万円の広告収入か「逮捕されるとは思わなかった」
2021/05/11 日本女性アスリートの競技画像がアダルトサイトに無断転載された事件で、著作権法違反容疑で逮捕された男(37)(京都府精華町)が、自身の運営するアダルトサイトに複数競技の女子選手の画像計39点を載せていたことが警視庁への取材でわかった。警視庁は、男がこのサイトを含む9サイトの運営で約10年間に計約1億2000万円の広告収入を得たとみている。
11日の発表によると、男は2019年5月18日、テレビ番組で放映された複数の女子選手の競技画像を複製し、インターネットのアダルトサイトに39点を無断転載。不特定多数のネット利用者が閲覧できる状態にし、テレビ局が持つ著作権を侵害した疑い。
逮捕直後の調べに対し、男は「金銭目的だった。悪いことだと思ったが、逮捕されるとは思わなかった」と話したが、その後、黙秘している。
画像にはそれぞれ「放送事故」「ハプニングシーン」などと書かれ、卑わいなコメントも添えられていた。警視庁は、男が運営する別のアダルトサイトにも、多数の女子選手の画像が掲載されていたとみて確認を進めている。
性的目的での撮影や画像悪用の被害防止に取り組む日本オリンピック委員会(JOC)が昨年11月以降、約1000件の被害情報を警視庁に提供。捜査の結果、このうち4件に男のサイトが関与していることが判明したという。
JOCなどスポーツ界が被害防止対策を本格化させて以降、刑事事件の摘発は初めて。以前に選手が赤外線カメラで撮影されるなどの被害もあった日本水泳連盟の石井雄二郎事務局長は11日、「引き続き会場での見回りを強化するなどして、競技者を守っていきたい」と話した。中高生が被害に遭うケースもあり、全国高等学校体育連盟の奈良隆専務理事(65)は、「アスリートに対する許しがたい行為だ。警察の摘発は被害抑止につながり、一歩前進だ」と語った。
JOCの籾井圭子・常務理事は11日、「場合によっては逮捕されるということがわかり、単に(被害防止のための)声明を出していることよりも、さらに一歩、高めの抑止効果が期待できる。警視庁がアスリートが置かれている状況を何とかせねばと思って動いていただいたのはありがたい」と話した。
※本文章は『読賣新聞』から転載されたものです。