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くまモン新中国名「熊本熊」でも商標横取りか、海外進出で押さえておくべき“先願主義”

2019/03/20 中国

「熊本と熊の漢字を組み合わせた“熊本熊”、『xiong - ben - xiong(ション ベン ション)』を公式な名称とします」

 

熊本県は19日、くまモンの中国での新名称を「熊本熊」とすることを発表した。これまで中国では「かっこいい」「かわいい」という意味を持つ「酷MA萌」を当て字として使ってきた。しかし、この名前は全く関係のない第三者が80種類以上のパターンで商標登録し、権利を主張するなど問題が起きていた。

 

そこでAbemaTV『けやきヒルズ』は、中国の商標について検索できるサイトで調査。実際に「酷MA萌」を商標申請しているのは熊本県以外にもあり、中国企業とみられる会社から「酷MA 茶」「酷MA 珈琲」などあらゆる分野で申請が出されている。中にはすでに登録されているものもあり、対応に苦慮する熊本県は名前の変更を余儀なくされたのだ。熊本県はすでに「熊本熊(ション ベン ション)」の商標登録を終えていて、今後は“ニセもん”対策を強化するとしている。

 

さらに、先ほどのサイトで「熊本熊」についても検索してみた。すると、ここでも中国籍とみられる企業の申請が見受けられ、早いものでは2014年に申請が出されているものも。中国の知財法に詳しい河野英仁弁理士は、その意図や必要な対策について次のように指摘する。

 

「おそらく先に中国の企業が(商標申請を)出している数件は、すでに登録されている。(申請があった)当時はそんなに有名ではなかったので、審査した結果通ってしまった。ただ、熊本県かはわからないが異議申し立てがされている。建前上は先願主義、先に申請を出したほうが勝ち。(先に正式登録されたら)商標権者に交渉して権利を譲り受けるなどで、アップル社のiPadが中国で先に商標登録された時は6000万ドルで買い取ったこともある。(申請理由の)ほとんどの部分は横取り。偶然これ(『熊本熊』の申請)が出てくるというのが、あとで売れるように申請しているとしか考えられない。『愛熊本熊』という商標は正式に登録されているが、周辺のところ、『熊本熊◯◯』や『キャラクター』もあわせて押さえておくべき」

 

中国での商標の申請には1件あたり10万円~15万円、10年ごとに約10万円の維持費がかかるという。河野弁理士は「もし他人に取られて紛争になると、弁護士費用などで数百万円とか数千万円がかかる。それを考えると、最初の初期投資で申請しておくほうがよっぽど安い」とした。

 

あとを絶たない中国企業の商標権侵害。これまでにも「クレヨンしんちゃん」(蝋筆小新※日本企業が勝訴)、「ウルトラマン」(奥特曼)、「無印良品」(無印良品、MUJI)、「青森」(AOMORI)、「讃岐うどん」(讃岐鳥冬)などのケースで、中国企業が商標登録を済ませている。

 

VRくまモン」などの取り組みで関係があるという東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏は「中国や台湾の友人はみな『酷MA萌』をよく知っていた」と指摘。くまモンがそれほど大人気のキャラクターだとしたうえで、「今になって名称を変えるというのは、商標に対する熊本県の意識が遅れていたのでは。海外に出ていく際、今は将来手がける可能性のあるサービスの名称を押さえておくことが鉄則になっている。iPadでアップルが巨額のお金を払ったことを考えると、くまモンがある程度人気になってきた時点で早めに商標を押さえておくべきだったと思う。中国以外にイタリアやスペインも先願主義なので、そういった国々では特に気をつけるべき」と述べた。

 

※本文章は『ABEMA』から転載されたものです。

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