「度小月」と近似し、「宜蘭渡小月」商標登録が拒絶
2017/01/06 台湾飲食店の「宜蘭渡小月」は、過去元総統陳水扁の国家的宴会を承ったことで名を馳せていた。2013年の年末、宜蘭渡小月という名称で経済部知的財産局へ商標出願をしたが、台南の「度小月」と近似することで拒絶された。宜蘭渡小月は不服で訴願を提起したが、経済部により棄却され、その後行政訴訟を提起した。知的財産裁判所はそれについて敗訴の判決を言い渡し、さらに上訴することができるという。宜蘭渡小月はこの訴訟に対してもう時間と金銭がかかり過ぎたため、上訴はしないと述べた。
宜蘭渡小月は1968年に開店し、その名称を長年使い、何れも「度小月」の商標登録時点より早いから、商標の使用が善意で、真似しようとする意図がないことが証明されると主張した。宜蘭渡小月の商標は地名の「宜蘭」と「渡小月」からなり、「宜蘭」という地名で「宜蘭産の食材、味」を強調した。また、宜蘭渡小月は主に値段高めの台湾料理を提供し、伝統的なB級グルメを提供する「度小月」とは客層が違う。
宜蘭渡小月がお客を引き寄せる理由は、シェフの腕前と知名度に深く関わるという。シェフの陳兆麟は、元総統陳水扁の国家的宴会で料理長を務めたことで多くマスコミに取材されたこともあるから、宜蘭渡小月が商標出願前に既に消費者に熟知されたことが証明される。また、経済部商業司主催のイベントで、「宜蘭渡小月」、「度小月」はそれぞれ東部、南部のおすすめ老舗リストに載せられ、両方の商標とも長年市場に併存して、消費者に誤認混同させるおそれがないと主張した。
しかし、知的財産裁判所は、「渡小月」と「度小月」は外観が近似し、称呼も同一であり、また、「渡」と「度」は何れも「商売の閑散期を乗り越える」という意味を有し、同じく飲食店に使うと、消費者に同じシリーズの商標と誤認させるおそれがあると認めた。また、宜蘭渡小月は店の看板に「渡小月」という三つの漢字のみ使用し、登録出願しようとした「宜蘭渡小月」とは異なるため、「宜蘭渡小月」と「度小月」は長年併存していたことを認め難い。しかも「度小月」の商標出願、登録は何れも「宜蘭渡小月」より早いから、「宜蘭渡小月」の訴えは棄却された。
本文章は『自由時報』から転載されたものです。