中国の模倣品に苦戦するスイス時計
2019/01/29 中国2014年に発効したスイス・中国の自由貿易協定(FTA)は高級時計の模倣品対策にあまり効果を発揮していないようだ。中国政府が禁止措置を講じても、裁判所が処罰を下していないためだ。
スイス連邦知的財産局他のサイトへのフェリックス・アドール局長代理はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、中国の地方部の裁判官は地元企業の不評を買う判決を出したがらないと語った。
アドール氏は「中国の大企業が関わっている事件の場合、(処罰は)抑止効果が強すぎる」とみる。「政治的な理由で、裁判所は知的財産よりも仕事を守ることを重視している」
また「政府機関が巨大すぎて、多くの企業は問題があったときにどの役所に持ち込めば良いのかすら分からない」とアドール氏は語った。
ただ大都市では事態に改善の兆しがある。大都市では中国の大手メーカーも、模倣品被害を受けているためだ。スイス・中国FTAも、両政府間で模倣品対策を協議するのには役立っている。
スイスの時計メーカーは年間約3千万本を製造するが、それ以上の数の模倣品が世界中で違法に生産されている。
スイスの時計輸出の大半は香港向けで、その多くは中国本土に再輸出されるとみられる。中国が12年に講じた模倣品対策により、スイスの対中国輸出は一時急減したが、徐々に回復している。
昨年1~11月のスイスの時計輸出額は前年同期に比べ10%多い195億フラン(約2兆1500万円)だった。うち対中国は37%増、対香港は27%増を記録した。
※本文章は『SWI』から転載されたものです。