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自社ブランド製品だけを販売していても「小売サービス」商標の使用か

2025/08/07 国際

15年前まで、商標権者は卸売や小売サービスについて商標保護を受けることができなかった。卸売や小売サービスが、標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定に含まれていなかったため、商標当局によって認められていなかったからだ。

 

理由は、商品を販売することは、その商品を製造することの自然な延長と見なされていたためで、たとえば、ワイン生産者が自社のワインを販売するのは当然であり、そうした販売行為は消費者や第三者に対して提供される独立したサービスとは見なされていなかった。

 

ここまでは理にかなっている。しかし、もしワインショップが自店の名前を商標として保護したいと考えたらどうだろう?そのような店は複数の生産者のワインを販売しており、消費者に対して助言したり商品を提供したりするサービスを行っている。また、そのワイン生産者自身が自社の商標名を冠した店舗を開く場合はどうなるのだろうか?

 

そうこうしているうちに、欧州司法裁判所の判決からニース分類が改正され、現在では卸売や小売サービスについても商標保護が可能になった。

 

こうしたサービスに関する商標使用の事例では、ワインショップによる小売サービスでの商標使用は容易に認められるようになったが、製品名と同じ名称を掲げ、かつ自社製品のみを販売している店舗の場合は状況が異なった。

 

RITUALS」商標の使用に関する事例で、欧州連合知的財産庁(EUIPO)取消部は、オランダのボディ・バス・ホームケアブランド、リチュアルズ(Rituals)が自社製品しか販売していないことを理由に、小売サービスにおける「RITUALS」商標の真正な使用とは認められないと判断した。EUIPOの見解では、こうしたサービスによって利益を得ているのはリチュアルズ自身であり、消費者ではないというのだ。

 

これは驚くべき判断だ。というのも、現在のブランド戦略においては、単なる商品ではなく「ブランド体験」全体が重視されており、実店舗はまさにその体験を構築・強化するのに最適な場であるからだ。

 

幸いにも、リチュアルズはこの決定を不服として審判請求し、異なる結論が導かれた。

審判部は、関連する判例を精査し、最近EUIPO取消部が「小売サービス」という概念を不当に狭く解釈していると指摘した。しかし、これには正当な理由はなく、欧州司法裁判所の重要な判決は今なお有効であり、実際には広い定義を与えている。

 

また審判部は、Intersport が小売サービスについて保護を受けられるのに、Adidas は受けられない理由があるとは思えないという例を挙げた。本件では、審判部は「RITUALS」ブランドが小売サービスとして十分に使用されていたと認定し、商標の取消請求を退けた。Knijffもこの判断を全面的に支持したい。

 

※本文章は『TMfesta』から転載されたものです。

經通國際智慧產權事務所

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