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商標「梅水晶」は法3条1項6号に該当し、使用による識別力の取得も認められなかった事例

2023/12/04 日本

(令和596日 知財高裁令和5年(行ケ)第10028 「梅水晶事件」)

 

事案の概要 

原告(審判請求人・出願人)は、商標「梅水晶」(標準文字)、指定商品29類「サメ軟骨の梅肉和え、サメ軟骨及び鶏軟骨の梅肉和え、魚介類又は魚介類の加工品を主材とする惣菜、食肉又は肉製品を主材とする惣菜」として登録出願をしたが拒絶査定を受けた。

 

その理由は、本願商標は商標法313号及び4116号に該当し、かつ、同法32項に該当しないとされた。

 

さらに拒絶査定不服審判(2021-13896)を請求したところ、特許庁は、本願商標は商標法316号該当として不成立審決をしたため、知財高裁に対しその取消しを求めて提訴した事案である。

 

判 旨 

前記に挙げた各事実によれば、本件審決がされた当時、①インターネット上の商品販売サイトにおいて、原告以外の者が製造したサメ軟骨(又はその代替の鶏軟骨等)を梅肉で和えた惣菜商品に、「梅水晶」の名称が付されて販売されていたこと、②多数の飲食店において、サメ軟骨を梅肉で和えた料理の名称として「梅水晶」の語が用いられ、客に提供されていたこと、③料理レシピを掲載しているウェブサイトにおいて、サメ軟骨の代わりに鶏軟骨等を用い、これを梅肉で和えた料理が「梅水晶」の名称で複数紹介されていたことが認められる。

 

これらの事実によれば、本願の指定商品の需要者は、「梅水晶」の語が本願商標の指定商品に使用された場合には、サメ軟骨又はその代替として用いられる鶏軟骨等を梅肉で和えた惣菜の料理名又はこのような惣菜の商品を一般的に指す名称であると認識するものといえ、原告の製造販売する商品を認識するとは認められない。

 

したがって、本願商標は、本願の指定商品との関係において、自他識別力を有しておらず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認められる。

 

商標法32項は、同条13号から5号までに該当する商標であっても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、商標登録を受けることができるとする規定であり、同項6号に該当すると判断される商標が同条2項によって商標登録が可能となることはない。

 

また、前記で認定した事実によれば、本願商標について、商標法3条2項にいう「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品・・であることを認識することができるもの」に当たると認めるに足りない。

 

コメント 

本件事案では、本願商標「梅水晶」について、316号該当として識別力を有しないと認定、判断されたものである。

 

裁判所は、インターネット情報、飲食店での使用例及び料理レシピ情報に基づいて、被告のみならず原告提出証拠により認定している。

 

当初は造語であったろうが、その後原告使用から広がり、当該業界で惣菜や料理の名称に至ってしまったものと思われる。審決の時点での認定、判断では止むを得ない。原告は32項適用を主張したが斥けられた。

 

裁判所は、32項は316号該当商標には適用されないと解する一方で、原告の使用は識別力を取得に至る使用には足りないとした。商標法の規定通りの解釈で、316号該当商標であっても、使用の結果識別力を取得するに至っているときは、6号の適用はなくなり、31項の登録要件はクリアすることになる(拙著「商標法の解釈と裁判例」改訂版91頁)。316号よりは、審査での同3号適用が妥当であろう。

 

本文章は『TMfesta』から転載されたものです。

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