中国で人気のイバンカブランド終了 米中貿易摩擦の影響も
2018/08/05 中国トランプ米大統領の長女イバンカ補佐官が「当面は、ワシントンでの職務に集中する」との声明を発表し、自身の名前を冠した衣料・服飾ブランド「イバンカ・トランプ」を終了させると明かしたことが中国で大きな反響を広げている。イバンカブランドは中国政府から商標登録認可を受け、商品も現地工場で生産しており、中国内のデパートなどでも商品を販売。中国内の若い女性の人気も高く、売れ行きが好調だった。
このような状況下でのブランド終了は、米国内でトランプ一家のビジネスと公務が「利益相反」と批判されたことや、米中貿易摩擦の激化が背景にありそうだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。
イバンカブランドは若い女性向けの服や靴、カバンなどを扱っているが、中国商標局は今年4月、「イバンカ」ブランドの宝石とバッグ、スパ事業に関する商標登録申請3件について認可を内示。
実はこの日、米フロリダ州のトランプ大統領の別荘では、米中首脳会談が行われていた。イバンカ氏も習近平中国国家主席との会談や晩さん会に同席し、習氏夫妻の隣に座って談笑するなど親しさをアピールしていたことから、米メディアから「利益誘導」との批判が出ていた。
さらに、中国側は首脳会談後の3カ月間で、イバンカブランド8件の中国内での商標登録を追加認証しており、中国側がトランプ大統領一家に配慮した結果との見方が強まった。無報酬の大統領補佐官としてホワイトハウス入りしたイバンカ氏は、ブランドの経営からは手を引いているが、所有権は維持していた。
このため、米メディアは「中国市場での独占販売権につながる商標獲得はビジネス上は大きな利益になる一方、政権の外交政策をゆがめる恐れもある」と報じていたが、トランプ大統領が中国の対米輸出品に大幅な関税をかけるなど、米中貿易摩擦が激しさを増したことから、この懸念が現実味を帯びていた。
そのタイミングでのイバンカブランド終了で、「イバンカ氏が立場上、中国でのビジネスで利益を得るわけにはいかないとの判断が働いた」と香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は分析している。
同紙によると、イバンカブランドについては、四川省の工場で生産し、北京、上海、広州などの大都市の一流デパートなど約30店舗でビジネス展開しており、ネットショッピングなどでも購入できるが、今後の取引は中止される。
これについて、中国のネット上では「トランプ大統領が娘の足を引っ張った。愚かな大統領へのしっぺ返しだ」などとの書き込みが見られ、トランプ批判が高まっている。
本文章は『NEWSポストセブン』から転載されたものです。