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新製品に商標と共に一般的な名称検討のすすめ

2023/11/28 国際

先週、新たに流行している菓子「Crompouce」がオランダで話題になった。

Crompouce」は、クロワッサンにオランダの伝統的なトンプース(パイ生地でカスタードクリームを挟みピンク色のアイシングが特徴的なお菓子)をミックスしたもので、大成功を収めている。現在、この商品の生みの親は、「Crompouce」を商標登録したとして、「Crompouce」という名称を使って商品を販売している人に対して商標権侵害だと警告している。

この件で何人かの商標弁護士が取材を受けた。

 

Crompouce」は記述的か?

 取材に応じた弁護士の一人は、「Crompouce」商標は「クロワッサン(Croissant)」と「トンプース(‎Tompouce)」を組み合わせた記述的なものだと論じた。

 

 「Crompouce」は新しい用語だが、判例によれば、用語の新規性だけでは商標として本質的な識別力を与えられない。特に、用語の意味がすぐにわかる場合にはこれに当てはまる。但し、「Crompouce」商標の出願時(識別性の審査時)にそれは当てはまらなかった。単語を組み合わせた「Crompouce」は、元になる単語がすぐにはわからないように造られている。従って、我々は「Crompouce」商標に識別力はあると考える。このような見解は、商標出願を受理したベネルクス商標当局も支持している。

 

Crompouce」は普通名称か?

 この商標はピンクのお菓子として普通名称になっているのだろうか。取材に応じた弁護士はリノリウムやジャグジーのような例を挙げてそう断言した。しかし、ジャグジーは依然として有効な商標であることは注目に値する。人々はジャグジーを温水浴槽(hot tub)と認識するだろうが、権利者はジャグジーの乱用を積極的に防いでいる。このことは、商標が普通名称になるかどうかが、商標権者の行動や不作為に左右されるという微妙な差を浮き彫りにしている。

 

 このように広く一般的に使用されることは、権利者の商標権を脅かすのであろうか。「Crompouce」という名称は普通名称になりつつあるようだが、権利者は、普通名称としての名称の乱用に積極的に対抗しなければならない。権利者が積極的な対策を示すことができれば、その商標権は存続する可能性はある。

 

 まったく新しい製品の場合、商標と同時に一般的な名称も検討することを勧めたい。人々は当然、新商品を話題にしたがる。普通名称がなければ、商標自体を一般的な名称として話題にするしかない。商標権者として、このシナリオを避けることは極めて重要だ。

 

意匠権

 最後に、ベネルクス商標局のスタッフは、「Crompouce」商標の権利者がお菓子のデザインを意匠登録することを示唆した。意匠には新規性があり、全体的な印象が既存の意匠と異なっていなければならないが、出願時にこれらの要件は審査されない。

 別のパン屋は、この菓子を20年前から作っていると主張しているので、もしそれが本当で見た目が同じであれば、意匠登録は成功しないかもしれない。

 

では、誰も「Crompouce」の名称を使用できないのだろうか?

 それは「Crompouce」商標の権利者の努力次第である。権利者が「Crompouce」の乱用と積極的に戦い、あるかもしれない係争でそれを立証できれば、「一般的な名称」だという主張に対して、商標権を主張し、他人がその商標を使用することを禁止できるかもしれない。しかしながら、権利者としては、「tompoucecroissant(トンプースクロワッサン)」のような誰でも使用できる普通名称を速やかに導入することが賢明だろう。

 

本文章は『TMfesta』から転載されたものです。

經通國際智慧產權事務所

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